イタリアンライグラスにおける非構造性炭水化物の品種・個体間差異 : V.秋季における生長およびNSCの経時変化
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概要
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本研究では秋季自然条件下に生長した栄養生長期のイタリアンライグラスにおける非構造性炭水化物(NSC)の含有率およびそれに関連する特性の品種・個体間における差異を究明し,育種への基礎的な資料を提供することを目的とし,本報ではワセアオバおよびTetroneの2品種を用い,秋季におけるNSCならびに生長の経時変化を追跡調査した。また,NSCの経時変化におよぼす気象要因の影響についても若干の検討を加えた。1)全調査期を通して地上部重は増加し,茎重/葉重比,乾物率,およびNSC含有率は高まる傾向を示した。2)NSCを分画した結果,フラクトサン含有率は生長が進むにつれ顕著に高まったが,単・少糖類含有率については各調査期間に大差がないものと認められた。3)NSC含有率の経時変化はほぼフラクトサン含有率の経時変化に起因していた。4)NSC含有率が高まるにともない,NSCに占めるフラクトサンの相対的割合が高まり,NSCの蓄積的な性格が強まるものと認められた。5)葉身では茎に比較してNSC含有率が低く,かつ,NSCに占めるフラクトサンの相対的割合も劣る傾向が認められた。しかし,低温条件となりNSCの含有率が高まるにともない葉身もNSCの蓄積器官としての働きを示すものと推察される。6)NSC含有率の経時変化は,気温および日射量等の気象要因の変動と密接に関係しているものと推察される。特に,フラクトサンについては,気温が低下するにともないその含有率は顕著に上昇し,かつ,その重合度が高まることが認められた。
- 日本草地学会の論文
- 1981-04-30
著者
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