低湿重粘度水田の転換畑における飼料作物の生育特性 : III.転換初期におけるトウモロコシの無機養分吸収

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低湿重粘土転換畑におけるトウモロコシの無機養分吸収について4ヵ年検討した。試験はタカネワセを供試して,窒素施肥量を標準,多窒素(1.5倍)無窒素の3水準で栽培し,抽雄期と黄熟期に刈取って,部位別のT-N,P,K,Ca,Mg含有率を測定した。葉・茎のN,P,K含有率は黄熟期で抽雄期より低下したが,Ca,Mgでは葉の含有率が黄熟期で高かった。黄熟期の器官別含有率はN,Ca,Mgは葉で高く,Pは雌穂で,Kは茎でそれぞれ高かった。各要素含有率の経年変化は葉で大きく現われ,Kを除く4要素とも転換1年目で著しく低かった。また,葉のN,P含有率が転換後の年次とともに徐々に高くなり,逆に茎のP含有率が転換後の年次とともに低下したことが特徴的であった。雌穂の要素含有率は茎葉に比較して経年変化が小さかった。黄熟期の各要素別含有量はKを除いて転換後の年次とともに増加した。抽雄期に対する黄熟期の含有量ではNの推移が特異的で,黄熟期N含有量/抽雄期N含有量は転換1年目60%,2年目82%,4年目148%となり,転換後の年次とともに黄熟期の窒素吸収量は高まった。窒素施用量と養分吸収の関係をみると,葉においては含有率は各要素とも毎年多窒素で高く,逆に茎のP含有率は多窒素で低かった。また各要素含有量は多窒素で増大した。以上のように,低湿重粘土の転換初期では養分吸収が阻害され,特にNとPで吸収阻害が大きかったが,転換後の年次に伴って徐々に改善された。また多窒素により無機養分吸収は増大した。
日本草地学会の論文
1986-01-31

低湿重粘度水田の転換畑における飼料作物の生育特性 : III.転換初期におけるトウモロコシの無機養分吸収

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