イタリアンライグラスにおける非構造性炭水化物の品種・個体間差異 : IV.同一品種内の個体間における差異について
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概要
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本研究では秋季自然条件下に生長した栄養生長期のイタリアンライグラスにおける非構造性炭水化物(NSC)の含有率およびそれに関連する特性の品種・個体間における差異を究明し,育種への基礎的な資料を提供することを目的とし,本報では鳥取在来,ワセアオバおよびヒタチアオバを用い,個体間におけるNSCの含有率および特性の差異の検討を,種子からの生長による個体と,株分けによる個体の2つについて行った。また,NSC含有率と2,3の形態・生理的形質との関係についても検討を加えた。1)NSC含有率の個体間差は明確であり,最小の値を示した個体と最大の値を示した個体には2〜3倍の差が認められた。2)アルコール溶性区分法による分画の結果,フラクトサンではその含有率が高く,かつ個体間差が顕著であるが,一方,単・少糖類ではその含有率が低く,かつ個体間差も少ないものと認められた。3)NSC含有率の個体間差はほぼフラクトサン含有率の,特に80%および70%エタノールにより抽出された相対に低分子のフラクトサン含有率の個休間差に起因していた。4)葉身と茎のNSC含有率間には高い有意な正の相関が認められた。5)株分けにより作られた栄養系の比較検討の結果から,NSCの含有率および特性は,個体間において遺伝変異を示すことが明らかにされた。6)NSC含有率は茎の乾物率と極めて高い相関係数を示した。茎の乾物率は個体間におけるNSC含有率の相対差を表わす指標になりうるものと考えられる。
- 日本草地学会の論文
- 1981-04-30
著者
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