消雪時からみた小麦の出穂期及び成熟期の予測
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概要
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1. ユキチャボについては, 北陸農試と新潟農試, ナンブコムギについてはこれに富山・石川農試の成績を加え, 消雪が3月1日以降になった場合の消雪月日と成熟期との関係を求めた。2品種とも両者に高い相関が認められ, また回帰式から消雪日が10日遅れるにつれ, 成熟期は4.5日程度遅れることが示された。2. 北陸農試及び北陸各県農試の成績をもとに, ナンブコムギについて出穂期と成熟期との相関を求めたところ, 両者にY=0.776X+11.41 (X : 5月1日, Y : 6月1日起算)が得られた。また, この回帰式によるふれは, 4日以内であった。3. ナンブコムギでは播種日が10日遅れると, 成熟期は平均して0.6日程度遅れることが示された。この遅れは主として出穂期の遅れに起因していた。4. ナンブコムギでは消雪日から成熟期までに69〜99日を要したが, 消雪日が遅れるにつれその日数は短縮された。これは消雪日が遅れるにつれて生育や登熟が高温で経過するためで, 出穂期までと成熟期までとに分けて, 平均気温と日数との関係を求めると, いずれの時期も高温に経過するほど日数は短縮された。一方, 積算温度は出穂期までが平均533〜535℃, 登熟期間が775〜782℃であったが(表1), 年次によるふれが大きかった。5. 以上の成果をもとにナンブコムギとユキチャボについて, 消雪日に成熟期を予測する式として次の式を導いた。ナンブコムギY=0.453X_1+0.06X_2-3.75X_3-2.01X_4+8.58ユキチャボY=0.445X_1+0.06X_2-3.71X_3-2.00X_4+10.34但しY : (成熟期6月1日起算), X_1 : 消雪日(3月1日起算), X_2 : 播種日の遅れ日数(10月1日起算), X_3 : 消雪から出穂期までとX_4 : 出穂期から成熟期までの平均気温の平年較差(予測であるので不明の場合はともに0)なお, 上記予測式は消雪日が3月1日より遅れた場合に適用される。また, 成熟期に影響する要因として土壌水分(湿潤圃場では1〜2日遅れる)。N施用量, 倒伏(倒伏すると1〜5日遅れる)などがあるが, ここでは計算から除外した。実際の予測にはこれらも考慮することが必要である。
- 日本作物学会の論文
- 1986-03-31
著者
-
渡辺 好昭
北陸農業試験場
-
渡辺 好昭
農林水産省北陸農業試験場
-
渡辺 好昭
東北農業試験場畑地利用部
-
石田 良作
農林水産省北陸農業試験場
-
青田 精一
農林水産省北陸農業試験場
-
石田 良作
草地試験場
-
石田 良作
北陸農試
-
青田 精一
畜産試験場
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