人工草地の状態診断 : 第1報 施肥量・刈取回数を異にしたオーチャードグラス単播草地の植生構造の変化
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概要
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オーチャードグラス単播草地について,施肥量と刈取回数を各3段階として2年間試験し,この間における植生構造の変化,諸形質や測度と収量の相関などを検討した。1.施肥量の多い4kg区や,比較的刈取回数の少ない3回刈区では,2年の間にも株数の減少が大きく,また株は大きなものと小さなものが混在する傾向を示した。また個体の形状(草型)は,晩秋にも直立したものが多かった。基底被度は低下が大きく,2年間に40〜50%にまで低下した。2.施肥量が少ない1kg区や,刈取回数が比較的多い5回刈区では,株数の減少は比較的少なく高密度が維持された反面,株の大きさは比較的小さなものが多かった。また個体の形状は,晩秋にはほ伏したものが多かった。基底被度は比較的高い値で推移した。3.このようにオーチャードグラス草地は施肥量や刈取回数を異にすることによって,わずか2年の間にもかなり異なった植生構造に変化してゆくことが示なれたが,この中で,株数,株の大きさ,基底被度などはその草地の収量水準,技術条件と高い関係をもって変化することが示された。また草丈や葉身長は現存量と高い相関を示したが,茎数や葉巾は変異が大きく収量との相関は示さかった。4.上記のような形質や測度が有効な指標になりうるとしても,診断が草地の維持管理技術に結びつくためには,草地の構造変化の原因検討とともに,測定方法,測定結果の評価などについて,多くの点を今後の検討にまたなければならない。
- 日本草地学会の論文
- 1971-07-29
著者
-
及川 棟雄
草地畜産種子協会
-
石田 良作
草地試験場
-
及川 棟雄
草地試験場山地支場
-
桜井 茂作
草地試験場山地支場
-
川鍋 祐夫
草地試験場草地計画部
-
川鍋 祐夫
農林省畜産試験場
-
及川 棟雄
草地試験場
-
桜井 茂作
農林省草地試験場
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