オーチャードグラス草地の乾物生産と生産過程 : 3.窒素施肥の影響

概要

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オーチャードグラス草地に10a当り25kgの窒素施用の多肥区と,その半量の少肥区を設け,播種翌年の春,夏,秋および翌々年の早春に調査を行なって,窒素施肥による増収機構を解析した。その結果えられた知見は次のようである。1.施肥の効果は,純生産量と収量率の2つの面に現われる。平均の日純生産量は,少肥の8.45に対し,多肥の11.67と,38%増加した。秋は春,夏に比べ増加率が低い。収量率は多肥により6〜60%増加した。春は,夏,秋に比べ増加率が低い。乾物収量は多肥により71%増収した。夏は春,秋に比べ増収率が低い。2.多肥により葉身重の割合が大となり,根重の割合が減少し,C/F比は小さくなった。3.多肥により生育中期の葉面積の増加速度が速くなり,かつ後期まで増加し続けた。その結果,春,夏,秋とも葉面積示数が約2増加した。4.多肥により同一葉面積における純同化率が増加し,葉面積の増加と相まって,収量生長速度は大巾に増加した。5.夏の窒素効果は,年により異なるようで,その原因や地域性について今後の研究が望まれる。
日本草地学会の論文
1969-11-29