牧草の夏がれ防止に関する研究 : 3.ラジノクローバーにおける頭花除去の栄養成長に及ぼす影響について

概要

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ラジノクローバーの出現間もない頭花を手で摘みとつて,ほふく茎,葉および根の成長に及ぼす影響などを調べた。疎植のほふく茎についての,頭花除去後21日の調査では,ほふく茎,根の成長が促進されたが,葉のそれには好影響が表われなかつた。また,着花節およびその先1〜3節にわたつて低下する草丈,葉長,節間の長さおよび太さに対しても,明らかな変化を与えなかつた。出現した頭花を除いても,栄養成長に対する頭花着生の悪影響を全くなくすことはできないようである。利用第1年のラジノクローバー畑において,5〜10月に頭花を除いた場合,ほふく茎数,収量に10月に好影響が表われただけで,夏がれ防止の効果はなかつた。ただし,頭花を手で摘みとる際に葉に障害を与えたようで,それが除去の効果を打消したことも考えられるので,さらに実験をする必要がある。以上の両試験をを通じて,頭花除去は著しい増収はもたらさなかつたが,着花の影響は多方面に及び,ほふく茎,葉および根の成長をかなり減退させていることを知りえた。
日本草地学会の論文
1963-04-30