前作のオーチャードグラスおよびイタリアンライグラスが後作牧草の生長におよぼす影響

概要

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1.前作イネ科牧草が後作牧草の生長にどのような影響をおよぼすかをまず現象的に確め,あわせてその起る理由を見当づける目的で圃場試験を行なった。2.前作としてはオーチャードグラスとイタリアンライグラスを用い,後作には南方型イネ科牧草としてローズグラス,ギニアグラス,ダリスグラス,北方型イネ科牧草としてイタリアンライグラスとオーチャードグラス,マメ科牧草としてラジノクローバーとアルファルファを選んだ。3.後作のローズグラスとギニアグラスは,1番草において牧草跡区が裸地区より収量が高めであった。2番草以後においては両者の収量は差がないかまたは裸地区の方が多収であった。4.後作のダリスグラスについては,牧草跡区と裸地区との間に収量の差は認められなかったが,窒素含有率をみると,多量の窒素追肥があった初年目2番草を除いて,全期間にわたり裸地区が高かった。5.後作のイタリアンライグラスの収量は,播種翌春の1番草において明らかに裸地区が多収であり,2番草では収量順位は逆転し,3番草以後は処理間の差がなかった。6.後作のオーチャードグラスの収量は,1番草で明らかに裸地区がまさり,2番草以後においてもその傾向は変らなかった。7.後作のマメ科牧草には,秋になってラジノクローバーの病害が牧草跡区により強く現れたほかは,前作の影響はとくに認められなかった。8.前作イネ科牧草の影響は,主として残根の分解に伴なう土壌中の可給態窒素の減少によるものと推定され,窒素吸収量をみると播種後間もない刈取りにおいては牧草跡区がまさるのに,その後は逆になり,播種翌年の1番草において最大の減少度を示した。窒素以外の要因は働いたとしても副次的なものであると考えられる。
日本草地学会の論文
1969-11-29

前作のオーチャードグラスおよびイタリアンライグラスが後作牧草の生長におよぼす影響

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