放牧草地における物質生産とエネルギー効率 : 第II報 経年オーチャードグラス草地のエネルギー効率
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概要
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山地傾斜地の経年草地における投下日射量から放牧牛の増体量までのエネルギー変換効率を明らかにするために,浅間山南麓のオーチャードグラス草地で調査を行った。草地はN-P_2O_5-K_2Oを171-111-171kg/ha/年施し,輪換放牧を行ってきた草地である。1975年にはホルスタイン種雄子牛55頭と黒毛和種雌子牛10頭,1976年にはホルスタイン種雌子牛46頭と黒毛和種雌子牛10頭を放牧した。結果は両年の平均で以下のようであった。1)生育期間における全短波放射量(I)は731×10^4Mcal/ha,光合成有効放射量(II)は322×10^4Mcal,植物純生産量(III)は14,170DMkg,520×10^2Mcal,被食量(VI)は8670kg,324×10^2Mcal,補助飼料(大麦)量(V)は1795kg,7160Mcal及び増体量(VI)は723kg,2500Mcalであった。2)エネルギー効率は(I)→(II)で44.1%,(II)→(III)で1.64%,(III)→(IV)で62.7%,(IV)+(V)→(VI)で6.3%,(I)→(III)で0.72%であった。3)(V)の寄与率をNRCに準拠し除去した場合には(IV)→(VI)で1.38%,(I)→(IV)で0.0062%(年当たりで0.0041%)であり,TDN7kgで1kgの増体量があるものと仮定した場合には,(I)→(VI)で0.0253%(年当たりで約0.0169%)であり,推定法で大きく異なり,前2者の値は(V)の寄与率を過大評価しているものと推測された。大麦を当地で栽培するものと仮定した場合には(I)→(VI)は年当たりで約0.0152%と推定された。4)季節別の効率は,(I)→(III)では春0.72%,夏0.37%,秋1.13%で,(III)→(IV)では春36.4%,夏117.9%,秋78.6%で,(IV)+(V)→(VI)では春12.3%,夏4.1%,秋6.1%で,NRCに準拠した(IV)→(VI)では春6.2%,夏-1.2%,秋2.9%であり,春と秋とではかなり異なっていた。5)維持のための正味エネルギー量はNRCに比べ,放牧期間を通しては約72%高かった。また春には33%低く,夏には95%,秋には148%高く,春と秋とでは大きな差違があることがわかった。
- 日本草地学会の論文
- 1983-01-28
著者
-
福山 正隆
九州大学大学院農学研究院
-
嶋村 匡俊
草地試験場山地支場
-
及川 棟雄
草地試験場山地支場
-
福山 正隆
草地試験場草地計画部
-
牛山 正昭
農林水産省草地試験場山地支場
-
及川 棟雄
農林水産省草地試験場
-
牛山 正昭
草地試験場山地支場
-
富井 光一
草地試験場山地支場
-
及川 棟雄
草地試験場
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