傾斜放牧草地の地形と草地管理 : 3.植生の時間的・空間的変化と地形

概要

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傾斜放牧草地において, 地形の変化に伴う放牧圧(採食・路圧・排糞)の偏りが草地植生の時間的・空間的な変化与える影響を検討した。調査草地では, 利用年次の経過に伴って優占種がオーチャードグラスからケンタッキーブルーグラスへと変化した。ただし, その変化の過程は凸型および等斉斜面では比較的単純なのに対し, 凹型斜面ではより複雑であった。凸型および等斉斜面では, 優占種の交代に至る期間が斜面傾斜角の増加に伴って長期化する傾向にあり, その交代に至る期間の長短はケンタッキプルーグラスの定着年と有意な正の相関関係にあった。草地造成から利用24年目に行った植生調査の結果, ケンタッキーブルーグラスの平均被度は約85%に達し, 他の草種に比べ圧倒的に優占した。凸型および等斉斜面では, 斜面傾斜角の増加に伴って多年生草本の出現種数が増加する傾向にあり, 群落の組成もより複雑になる傾向にあった。一方, 凹型斜面では,斜面傾斜角と種数の間に一定の関係は認められなかった。以上の結果と地形に伴う放牧圧の偏りとの関係を検討した結果, 両者は密接に関連していると考えられた。
日本草地学会の論文
2000-04-30