二酸化炭素濃度と葉温の上昇がペレニアルライグラス(Lolium perenne L.)の光合成速度に及ぼす影響

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佐々木寛幸・福山正隆・尾上桐子(2001):二酸化炭素濃度と葉温の上昇がペレニアルライグラス(Lolium perenne L.)の光合成速度に及ぼす影響．草地試研報60:1～8．　地球温暖化の原因の1つとして知られるCO2濃度の上昇に伴い，わが国においても各飼料作物の生育適地が変化する可能性があるため，この変化を予測し，温暖化に対応した適切な草種選定をはかる必要がある。そこで，寒地型牧草の中で，わが国でも比較的多く栽培されているペレニアルライグラスについて，CO2濃度気温の上昇が光合成速度に及ぼす影響を検討した。　バイオトロン内で生育したペレニアルライグラスの光合成速度を10通りの光強度(0,40,100,200,300,500,700,1,000,1,500,2,000μmol photons m-2s-1)，5通りの葉温(15,20,25,30,35℃)で計測した結果，いずれの葉温においても，光強度が強まるにつれて光合成速度も高まった。CO2濃度350ppmでは，葉温20～25℃までは葉温が高まるにつれて光合成速度も高くなり，それ以上の温度では低くなった。　8通りのCO2流入濃度(0,30,100,200,350,500,700,1,000ppm)，5通りの葉温で計測した結果，CO2濃度700ppmまでは，いずれの葉温においても，CO2濃度の増加に伴い光合成速度が増加したが，700ppm以上になると，葉温20℃以下でCO2濃度の増加に伴い光合成速度が低下した。　CO2濃度350ppm及び700ppmにおける葉温と光合成速度の関係を葉温の2次式で回帰することにより，CO2濃度の倍増に伴う光合成速度の変化を検討した。両者の比を光合成速度の相対倍率として葉温ごとに求め，相対倍率を葉温の2次式で回帰することにより，CO2濃度上昇及び葉温上昇の両者はペレニアルライグラスの光合成速度を高めることが明らかになり，その具体的な相対倍率が数値として求められた。
農林省草地試験場の論文

著者

福山正隆
九州大学大学院農学研究院

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