フェストロリウム(Lolium multiflorum Lam×Festuca elatior L.)と比較した集約放牧条件下におけるバーミューダグラス(Cynodon dactylon (L.) Pers.)の一次生産力の特徴
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
バーミューダグラスの栽培北限である北関東において,耐寒性品種の乾物生産性を明らかにするために,放牧用草種として収量性に優れた寒地型牧草であるフェストロリウムと,バーミューダグラス耐寒性品種の一次生産量を,集約放牧下で2年間にわたり比較した。供試した草地は,造成4年目のバーミューダグラス(Ber:品種ブラゾス)草地と造成2年目のフェストロリウム(F1:品種タンデム)草地である。両草地は,黒毛和種及び交雑種の去勢牛を短期輪換放牧し,牧養力はF1草地がha当り年間645〜938カウデー(CD),Ber草地が215〜307CDであった。両草地の年間の一次生産量(NPP)は,放牧開始時(春)から終了時(秋)までの地上部乾物重の増加量(ΔB),放牧家畜による採食量(ΣG),リタ-消失量(ΣLWL),及び年間の地下部生産量(ΣR)の総和として推定した。ΣGは,移動ケージ法及び放牧前後差法によって推定し,ΣLWLはリターバッグ法によって推定した。ΣRは,各調査間の地下部乾物重の増加分の年間の総和とした。両草地のNPPとその内訳を2年間の平均値で示すと,F1草地では,NPPが2,052g/m^2であり,その内の52%に相当する1,065g/m^2が放牧牛によって採会され,41%の847g/m^2が土壌に還元された。一方,Ber草地では,NPPが1,274g/m^2であり,その内の63%の799g/m^2が採食され,16%の206g/m^2が土壌に還元された。Ber草地のNPPは,F1草地の62%であったが,NPP中の採食される割合が大きく,ΣGは,F1草地の75%に相当した。これは,Ber草地では,放牧期間が7月下旬から9月中旬の約2か月と短かったものの,その期間に発揮される生産力が高く,重放牧が可能なためであった。このように,Ber草地のNPPは,F1草地よりも小さく,また利用期間も2か月間と短かったものの,その乾物生産が,寒地型牧草の生産が停滞する夏期に集中しており,Ber草地と寒地型牧草地の組合せ利用は,季節生産性の平準化に有効と考えられた。
- 日本草地学会の論文
- 1994-10-31
著者
関連論文
- 第3回日中韓草地シンポジウムに参加して(第3回日本・中国・韓国合同国際シンポジウム報告)
- 近年我が国で市販されているサイレージ用トウモロコシ(Zea mays L.)4品種の登熟パターン
- 北東北地域におけるケンタッキーブルーグラス優占草地の輪換放牧条件での牧養力
- 北東北地域における公共草地の植生及び土壌の現状 : 経年化放牧草地におけるケンタッキーブルーグラスの優占
- 2-27 P-28 北東北地域における公共草地の現状 : 経年化放牧草地におけるケンタッキーブルーグラスの優占
- 異なる2種の作付け体系跡地に造成されたPanicum maximum草地の乾物生産性及び飼料価値
- Brachiaria decumbens品種Basilisk及びBrachiaria brizantha品種Maranduのリン施用に対する生育反応
- 近年我が国で市販されているサイレージ用トウモロコシ (Zea mays L.) 4品種の登熟パターン
- 自給飼料増産に向けた飼料作物栽培研究の現状と今後の展望(自給飼料研究と経営展望)
- 自給飼料増産に向けた飼料作物栽培研究の現状と今後の展望
- ブラジルの農牧輪換圃場におけるアーバスキュラー菌根菌相
- ブラジル亜熱帯サバンナ (セラード) の農牧輪換システム (牧草-ダイズ輪作体系) における牧草栽培とダイズ栽培が土壌窒素に与える影響(16. 畑地土壌肥よく度, 2004年度大会講演要旨集)
- 55 ^N自然存在比法を用いたエンドファイトによる窒素固定量の推定(関東支部講演会)
- 11-10 ブラジル亜熱帯サバンナ(セラード)に生育する熱帯イネ科牧草の窒素利用吸収特性の比較(11.植物の栄養生態)
- ブラジルサバンナにおける低湿地の草地化に関する現地実証試験
- 7-12 ブラジルの農牧輪換圃場におけるアーバスキュラー菌根菌相
- 1-9 ブラジル中西部における多時期衛星データを用いた草地荒廃評価
- ブラジルの亜熱帯サバンナ(セラード)に生育する熱帯イネ科牧草(Brachiaria属牧草)の窒素利用特性
- 1-30 Brachiaria属4種の耐乾性
- シンポジウムの概要など(第3回日本・中国・韓国合同国際シンポジウム報告)
- 第21回国際草地学会議および第8回国際牧野会議合同会議報告
- 1-13 イタリアンライグラス、トールフェスクおよび属間雑種フェストロリウムの光合成特性
- サイレージ用トウモロコシ(Zea mays L.)市販品種の幼苗期における耐湿性の差異
- 56 高二酸化炭素濃度処理がダイズの炭水化物の転流および蓄積に及ぼす影響(分配・蓄積)
- P-53 好熱細菌製堆肥施与がダイズの生育収量および排水からの栄養分漏出に及ぼす影響
- 12 ダイズにおける花房次位別の小花梗維管束の発達
- 種子播種前処理によるセンチピードグラス(Eremochloa ophiuroides (Munro) Hack.)の発芽向上
- 九州3地域における気象要因とシバおよびセンチピードグラスの生産量との関連性
- P-28 ダイズにおける葉の老化と葉内窒素および可溶性タンパク質含量の変化との関係
- 67 高二酸化炭素濃度処理がダイズの光合成および乾物生産に及ぼす影響
- 小型GPS受信機による草地の簡易測量
- P13 草地における家畜の糞周囲の雑草の生育(2-(3)草地、芝生)(2. 雑草の防除・管理)
- 3-26 P-11 GPS ハンディ機による草地配置図の作成
- 1-2 不食過繁地による草地現存量の不均一性のモデルによる解析
- 生育中期の局地的強風雨によるサイレージ用トウモロコシの倒伏およびその回復に見られた品種間差異
- A106 除草剤アトラジンの土壌吸着におよぼす有機物施用の効果
- 雑草モノグラフ : 1.イチビ(Abutilon theophrasti MEDIC.)
- 西南日本の遊休地に成立した二次林内での放牧. 1. 二次林内に形成された牛道の特徴.
- 8. サツマイモ塊根の^1H-NMR緩和時間(T_1, T_2)のアレニウスプロットにおける低温感受性の変異点(平成14年度第48回低温生物工学会研究報告)
- 12. トールフェスクの低温ストレス耐性に対する超好熱細菌コンポスト施用効果の^1H-NMRによる測定(第49回低温生物工学会研究報告)
- 11. 結合水をパラメータとしたコムギ種子のABA感受性(第49回低温生物工学会研究報告)
- 高二酸化炭素(CO_2)濃度処理がダイズの開花・結莢および子実収量に及ぼす影響の品種間差異(日本作物学会第216回講演会要旨・資料集)
- NMR緩和時間(T_1,T_2)をパラメータとしたペレニアルライグラスの温度ストレス応答の器官特性(日本作物学会第216回講演会要旨・資料集)
- 孤立節を用いたダイズの結莢におけるソース依存性の解析(日本作物学会第216回講演会要旨・資料集)
- ブラジルサバンナにおける熱帯イネ科牧草5種の連続放牧条件下の地下部バイオマス
- 7. エチレン感受性植物の老化過程における水の物性(平成14年度第48回低温生物工学会研究報告)
- 放牧草地における物質生産とエネルギー効率 : I.経年オーチャードグラス草地の一次生産
- 35 生育時期別の高二酸化炭素(CO_2)濃度処理がダイズの開花・結莢および子実収量に及ぼす影響
- 牧草の地帯区分に及ぼす地球温暖化の影響 : 2.バヒアグラスの栽培適地と生産量の変動予測
- 牧草の地帯区分に及ぼす地球温暖化の影響 : 1.寒地型牧草の栽培適地と生産量の変動予測
- 「図説 牧草研究-草は工夫して暮らす-」大学出版センター
- 暖地における優良酪農経営 : 熊本県泗水町内田牧場を例として
- バーミューダグラス(Cynodon dactylon (L.) Pers.)草地と数種寒地型イネ科草地及びシロクローバ草地との組合せ利用下における放牧去勢牛の増体量
- フェストロリウム(Lolium multiflorum Lam×Festuca elatior L.)と比較した集約放牧条件下におけるバーミューダグラス(Cynodon dactylon (L.) Pers.)の一次生産力の特徴
- 兼用利用下におけるプレーリーグラス(Bromus willdenowii KUNTH)の天然更新法
- 多回刈り条件下における数種寒地型イネ科牧草の生産構造及び地下部器官重
- 模擬放牧条件下における数種寒地型イネ科牧草の有機物組成に及ぼす現存量ならびに生育気温の影響
- 集約放牧草地におけるフェストロリウム(品種タンデム)の高位分げつの特徴
- プレ-リ-グラス(Bromus willdenowii Kunth)の乾物生産性及び飼料価値〔英文〕
- プレーリーグラス(Bromus willdenowii KUNTH cv. Grasslands Matua)の個体密度及び乾物収量に及ぼす自然下種の影響
- P-14 西南暖地向けのダイズ新品種サチユタカの乾物生産特性
- ダイズの根粒形成および生理活性に及ぼす湛水処理の影響の品種間差異
- 二酸化炭素濃度と葉温の上昇がトールフェスク(Festuca arundinacea Schreb.)の光合成速度に及ぼす影響
- 高二酸化炭素濃度条件下におけるオーチャードグラス(Dactylis glomerata L.)の光合成
- 二酸化炭素濃度と葉温の上昇がペレニアルライグラス(Lolium perenne L.)の光合成速度に及ぼす影響
- 樹林帯で囲まれた草地の大きさと広がり感との関係
- SD法による草地景観のイメージと快適性考察の一試み
- 高二酸化炭素濃度条件下におけるバヒアグラス(Paspalum notatum Flugge)の光合成
- 草地の多面的機能に関する地域住民の評価
- 92 中国山東省の雑草・野草地における植生改善の可能性
- 数種短草型草種の地下部器官の比較
- 13 湛水田におけるダイズの生育と収量
- 33 湛水条件下でダイズの胚軸に形成される二次通気組織の機能
- 84 ダイズとツルマメの胚軸における二次通気組織の発達
- 83 数種マメ科作物の胚軸における二次通気組織形成の種間差異
- 秋ダイズの莢伸長における停滞期
- 50 ^1H-NMRによるサツマイモ塊根の低温感受性のモニタリング
- 放牧草地における物質生産とエネルギー効率 : 第II報 経年オーチャードグラス草地のエネルギー効率
- 温度ストレス下の牧草(ライグラス類)のNMRによる早期診断
- 5-17 ナギナタガヤの倒伏特性における水分生理学的アプローチ
- 5-16 Lolium 属牧草の ^1H-NMR 緩和時間 (T_1,T_2) による凍結耐性の検証
- 好熱細菌製コンポストがヒメコウライシバの生育と肥料養分漏出に及ぼす影響
- 25 飼料稲栽培における青刈り稲おび再生稲の生育、収量および消化率
- 播種日の違いがイチビの開花と種子生産に及ぼす影響
- 1-31 ブラジルサバンナにおける熱帯イネ科牧草5種の連続放牧条件下の個体群構造及び地下部バイオマス
- 第21回国際草地学会・第8回国際牧野学会合同会議に参加して(第21回国際草地学会議および第8回国際牧野会議合同会議報告)
- 関東北部のサイレージ用トウモロコシ(Zea mays L.)二期作栽培における乾物収量および乾物率
- 23-5 日本の飼料畑における亜酸化窒素放出量(23.地球環境,2010年度北海道大会)
- ブラジルサバンナの低湿地に適した牧草と草地造成法
- 関東北部のサイレージ用トウモロコシ(Zea mays L.)二期作栽培における乾物収量および乾物率
- 冬作草種とその刈高および残根がトリプルディスク方式により不耕起播種されたトウモロコシ(Zea mays L.)の播種精度と初期生育へ与える影響
- トウモロコシ(Zea mays L.)の不耕起播種栽培における土壌物理性が播種精度および初期生育に及ぼす影響
- 我が国の飼料イネ・飼料ムギの二毛作体系の普及に向けた技術的な展望 (特集 我が国の水田における飼料生産の動向と展望)
- 我が国の水田における飼料生産の動向と展望 : 巻預言(我が国の水田における飼料生産の動向と展望)
- 我が国の飼料イネ・飼料ムギの二毛作体系の普及に向けた技術的な展望(我が国の水田における飼料生産の動向と展望)
- 水田圃場において畝立て播種法および肥効調節型肥料を用いて栽培されたサイレージ用トウモロコシ(Zea mays L.)2品種の乾物収量
- 技術とサイエンスの連携を
- 水田圃場において畝立て播種法および肥効調節型肥料を用いて栽培されたサイレージ用トウモロコシ (Zea mays L.) 2品種の乾物収量
- 二酸化炭素濃度と葉温の上昇がペレニアルライグラス(Lolium perenne L.)の光合成速度に及ぼす影響