低湿重粘土水田の転換畑における飼料作物の生育特性 : I.転換初期における生育・収量の種間差
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概要
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低湿重粘土水田転換畑における飼料作物の生育・収量の年次変化及び種間差について4カ年検討した。試験はトウモロコシ(タカネワセ),ソルガム(p-988),ローズグラス(カタンボラ),グリーンパニック(雪印系)と,参考に大豆(エンレイ)を供試し,窒素施用量は標準,多窒素(1.5倍量),無窒素の3水準で行った。播種は5月中旬,刈取はトウモロコシ黄熟期,ソルガム出穂期2回,暖地型牧草3回,大豆は成熟期で,その他耕種法は当地の標準栽培で行った。各作物の生育・収量は転換4年目が最も勝った。4年目収量に対する転換1年目の収量比はソルガム90%,暖地型牧草80%,大豆76%,トウモロコシ65%であった。トウモロコシは転換1年目収量が極めて低く,転換3年目(湿害発生年次)も減収度が著しいなど,収量変動が大きく,転換初期の収量性は不安定な作物とみられた。ソルガムは転換1年目から最も多収で,転換3年目でも減収度は少ないなど,安定した収量が得られた。ローズグラス,グリーンパニックの収量変動はソルガムとトウモロコシの中間的で,大豆はトウモロコシに類似する傾向であった。トウモロコシの転換1年目,3年目の減収要因として,生育量の不足,特に雌穂重割合の低下がみられた。また収穫物中の窒素含有率が極めて低いことも特異的で,これが雌穂の発育不全につながったものと考えられた。施用窒素の多少と乾物収量の関係では,各作物を通じ,多窒素で増収したが,トウモロコシとグリーンパニックで増収程度は大きく,特にトウモロコシは多窒素で雌穂重割合が増加し,転換1年目でその効果が高かった。
- 日本草地学会の論文
- 1985-02-25
著者
-
青田 精一
北陸農試
-
渡辺 好昭
北陸農業試験場
-
渡辺 好昭
北陸農試
-
渡辺 好昭
農林水産省北陸農業試験場
-
渡辺 好昭
東北農業試験場畑地利用部
-
石田 良作
草地試験場
-
石田 良作
北陸農試
-
青田 精一
畜産試験場
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