人工草地の植生構造 : VI.数種イネ科牧草地における個体密度の変化および刈株の分散状態

概要

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ペレニアルライグラス,チモシー,トールフェスク,レッドトップのイネ科4草種単播草地を供試し,旋肥量を3水準,刈取回数を2水準として2年間試験し,個体密度の変化を追跡するとともに,試験終了時に,刈株の分散の状態を調査した。1.個体密度は,いずれの草種も処理初年目は減少が著しく,2年目は比較的小さな変化で推移した。減少の程度は施肥量を増すにつれ,また5回刈区より3回刈区で著しかった(Fig.1)。2.個体密度は,ペレニアルライグラスやトールフェスクで減少が著しく,レッドトップは比較的高い密度で推移した。しかし,それぞれの刈取時について,個体密度と個体重との関係を比較すると,草種間の密度差にもかかわらず,両者は一つの曲線で示しうるような関係が得られた(Fig.5)。3.処理2年目秋の最終刈取時に,個体の刈株の分散の状態を調査した。その結果,刈株直径と株間距離との間に極めて高い正の相関があること,大小さまざま株が分布している場合は,大きな株は離れて存在し,大きな株の近くほど小さな株が存在するような傾向が示された(Fig.3およびFig.4)。個体の刈株の分布についてのこのような結果は,個体密度の減少が,隣接個体との個体間競争によって起こっていることを示唆するものであることを考察した。
日本草地学会の論文
1978-07-31

著者

石田良作
草地試験場

人工草地の植生構造 : VI.数種イネ科牧草地における個体密度の変化および刈株の分散状態

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