イタリアンライグラスにおける非構造性炭水化物の品種・個体間差異 : VI.2倍体品種と4倍体品種の比較

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秋季に生長した栄養生長期の2倍体(2n)と4倍体(4n)のイタリアンライグラス間における非構造性炭水化物(NSC)の含有率と組成の比較を,1)2n品種とそれらから育成された4n系統間,および2)育成地,熟期等の異なる2nと4nの各10品種の品種群間について行った。また,NSC含有率と2,3の形質との関係についても検討を加えた。1)2n品種と4n系統のNSC含有率は出芽後35〜45日目までは4n>2nであったが,それ以後はこの関係が逆転し4n<2nの傾向となった。また4n<2nの関係は以後の生育が進むにつれより明確となる傾向を示した。2)2nと4nの品種群間においては,生重当りのNSC含有率に4n<2nの有意差が認められた。この差は,アルコール溶性区分法によれば,ほぼフラクトサンの,特に低分子フラクトサンの差に起因したことが明らかであった。なお,有意差は認められないが,乾重当りでも,4n<2nの傾向となった。3)2n品種と4n系統のNSC含有率を個体植条件と群落条件で比較してみると,個体植条件では4n〓2nであったが,群落条件では明らかに4n<2nとなり,高密度化にともない2n,4n間差が拡大することが認められた。4)既存2倍体品種から4倍体品種を育成する場合には,生理的なNSCの蓄積力が低下しないようにすると同時に,形態的には受光態勢の改善を計り,群落条件下での相互遮蔽を少なくすることが必要と考えられる。5)乾物率はNSC含有率の相対差を表す指標になるものと考えられる。しかし,2nと4nでは回帰常数が異なるので,この両者は区別して取扱うことが必要である。
日本草地学会の論文
1982-04-28

イタリアンライグラスにおける非構造性炭水化物の品種・個体間差異 : VI.2倍体品種と4倍体品種の比較

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