飼料用麦類における非構造性炭水化物の蓄積と耐雪性 : I.秋季における非構造性炭水化物の蓄積様相
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概要
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飼料用麦類の耐雪性を非構造性炭水化物(NSC)の蓄積と消費の面から検討するため,先ず本報ではオオムギ,ライムギ,エンバクの代表的な1品種について,秋季間,植物体が積雪に覆われるまでの生長とNSC蓄積の推移を追跡調査した。結果を以下に要約する。供試各草種が気温や日射量の影響を受けながら積雪に覆われるまで生長を続けてNSC,特にフラクトサンを次第に高濃度に蓄積した。これは貯蔵炭水化物が越冬中の生命維持と越冬後の再生長に対してエネルギー源および新組織形成の基質としての役割を果たしており,良好な越冬と春の生長を確保するにはそれを越冬前に多量に蓄積して置くことが必要なためと考えられる。部位別では各草種において特に茎でNSC含有率が高く推移し,葉身と根の間には大差がなかった。なお,NSC含有率を草種間で比較すると,栽培条件が同様(圃場試験)であったオオムギとライムギ間ではライムギ>オオムギであった。これに比較してエンバクは,ポット試験でありNSC蓄積に対する光環境等が圃場試験より好適であったにもかかわらず,顕著に低かった。フラクトサンの重合度については,多年生牧草やイタリアンライグラスに比較して低く,また供試草種間では,エンバク<オオムギ<ライムギと考えられる。NSC含有率の推移は乾物率の推移と極めて良く類似した。乾物率の変動にはNSC蓄積量の変動が大きく寄与していると考えられる。
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