トキソプラズマ抗原投与によるトキソプラズマ感染血清蛋白の推移

概要

論文の詳細を見る
トキソプラズマ慢性感染牛にトキソプラズマ抗原(TLA)を投与した後の血清成分の質的及び量的変化の推移を経時的に検討した。セルロース・アセテート膜電気泳動法から,TLA投与後48時間以内にグロブリン画分の増加とアルブミンの減少が認められた。SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)により,TLA投与6,12及び24時間後の血清中に,他の時間や健常牛の血清には認められない,分子量1万2千の物質が観察された。感染牛末梢血リンパ球をTLA存在下で培養し,培養上清をSDS-PAGEにて検討したところ,TLA添加培養上清中に,分子量1万2千の特異的物質が観察された。マクロファージ遊走阻止因子(MIF)とトキソプラズマ増殖阻止因子(Toxo-GIF)活性については,MIFは,3及び48時間後に活性の増加を示し,Toxo-GIFは,3及び12時間後に高い活性を示した。これらの血清を生澱粉電気泳動法で4分画(アルブミン,α-,β-,γ-グロブリン)に分離し,それぞれの活性の分布を検討したところ,MIF活性は,TLA投与後3時間の血清ではβ-グロブリン分画に,48時間ではアルブミン画分に高い活性を認めた。一方,Toxo-GIF活性は,β-,γ-グロブリン画分に認められた。
帯広畜産大学の論文
1990-06-30