トキソプラズマ感染ラットにおける虫体の胎仔移行と体液性抗体について
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概要
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トキソプラズマ(Tp)虫体の感染に対して,極めて抵抗性の強いラットを用いてTp虫体の母仔間移行の有無と,それらのラットにおける体液性抗体の出現について検討した。すなわち,実験はWistar-Imamichi雌成熟ラットの妊娠直前(Group2),妊娠初期(Group3),妊娠後期(Group4)にTp2.5×10^7個感染したものと慢性期妊娠(Group1)に分け,各Groupの胎仔・新生仔について行った。Group2は6例のうち2例が受胎し,その1例の胎仔から虫体を分離した。Group3と4では,検索妊娠母ラット19例全例の胎仔・新生仔へTp虫体の移行を認めた。Group3での胎仔・新生仔出生頭数および出生後の存命も,対照健常群と相異なかったが,Group4では出生頭数が極めて少い例および出生後10日以内に全例死亡・食殺された。Group1では,胎仔・新生仔から虫体は分離されなかった。一方,血清中Tp抗体では虫体移行新生仔は生後7週まで,IgG抗体の高値と,3週目を頂点とするIgM抗体が出現した。虫体移行が認められない慢性Tp症母ラットより出生した新生仔では,IgM抗体は検出されず母仔間移行IgG抗体が出生後5週目まで漸減する傾向を認めた。ついで,移行IgG抗体の新生仔Tp感染に対する抗体Responseを検討するために,生後1〜2日の移行抗体所有新生仔および健康新生仔に10^3個のTp虫体を感染した。健康新生仔では,Tp感染後2週目より3週目を頂点とするIgM抗体の出現とIgG抗体の漸増が観察された。しかるに,移行抗体所有新生仔では,IgM抗体の出現は1例も観察されなかった。IgG抗体は6例のうち4例では実験期間中,高値を保持した。残りの2例ではIgG抗体の漸減が観察された。
- 帯広畜産大学の論文
- 1975-06-10
著者
-
鈴木 直義
帯広畜産大学原虫病分子免疫研究センター
-
小俣 吉孝
帯広畜産大学家畜生理学教室
-
五十嵐 郁男
帯大・原虫研
-
鈴木 直義
帯広畜産大学原虫病研究センター:北里大学獣医寄生虫学教室
-
鈴木 直義
帯広畜産大学
-
Omata Y
Obihiro Univ. Agriculture And Veterinary Medicine Hokkaido Jpn
-
小俣 吉孝
帯広畜産大学基礎獣医学講座
-
小俣 吉孝
帯広大・獣医生理学
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