トキソプラズマ感染ラットの赤血球自己抗体と抗体産生細胞について

概要

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ヒトのTp症例のうちに,溶血性貧血,胎仔赤芽球症,ホジキン病,リンパ腫など血液疾患との併発として報告されているものがある。一方,ラットの不顕性Tp感染症時にも赤血球の形態・機能の面に異常をきたし,軽度ながら赤血球寿命の短縮,そして溶血し易い状態を呈することが知られている。これらの事から,著者らはTp感染時のラット赤血球について,主として赤血球自己抗体の面から検討を加えた。その結果,Tp接種後4週目から軽度ながら赤血球自己抗体の出現を認めた。陽性赤血球誘出試験の結果から,クームス陽性は血清蛋白等の非特異的吸着によるものでないことを知った。本陽性赤血球は抗IgGとのみ陽性反応を示し,抗IgGに対する特異抗体を吸収除去した抗グロブリン分画に対しては陰性を呈した。以上から赤血球自己抗体はIgGと同抗原性を有するものと考えた。一方,自己赤血球ロゼット形成細胞,すなわち赤血球自己抗体産生細胞についての検討結果,胸腺,リンパ節および脾臓内細胞中に認められ,骨髄細胞中ではほとんど検出されなかった。アラビアゴム遠心分画より得たロゼット形成細胞の比率は胸腺および脾臓第I分画において最大で,主として小・中リンパ球様細胞と思われた。これらロゼット形成細胞を細胞膜表面IgMおよびIgG保有について検討したが,すべて陰性を呈した。特異ラット抗胸腺血清(肝・赤血球・骨髄細胞により吸収)とはきわめて強く反応した。これらの結果から,自己赤血球ロゼット形成細胞は,胸腺依存性リンパ球系に属するものと推察した。
1974-12-25

トキソプラズマ感染ラットの赤血球自己抗体と抗体産生細胞について

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