Trypanosoma bruceiにおける牛ラクトフェリン結合タンパク質の検出(寄生虫病学)

概要

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トランスフェリンファミリータンパク質であるラクトフェリン(LF),トランスフェリン(TF),オボトランスフェリン(OTF)はそれぞれ哺乳類,鳥類などの生体内に分泌される分子量約80kDaの鉄結合性タンパク質である.近年,Trypanosoma brucei(T. brucei)のTFレセプターの解析は進んでおり,この原虫はTFを利用することにより鉄を獲得し,虫体の増殖にTFとそのレセプターが重要な役割を示す.一方,TFと非常にホモロジーの高いLFとの関係については明らかになっていない.そこで,牛LFをビオチンで標識し,共焦点レーザー顕微鏡で観察したところ,ビオチン標識化牛LF,牛TF,0TFは虫体に結合することが観察された.また,虫体をビオチンアビジン反応によるfar-Western blot法あるいはSABマイクロプレート法により,LFの結合タンパク質の固定とLFの結合の特異性について調べた.その結果,分子量40, 43kDaに牛LF,人LF,牛TF,0TF結合タンパク質の存在が確認された.また,分子量40kDaの牛LF結合タンパク質のN末端アミノ酸配列を解析したところ,T. bruceiのglyceraldehyde-3-phosphate dehydrosenase (GAPDH)であることが判明し,この酵素が虫体の鉄代謝に関与している可能性が示唆された.
2004-06-25