有機溶媒浸漬処理が水稲種子の発芽に及ぼす影響

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四国地方は瀬戸内平坦地を中心に水稲,麦の二毛作栽培が行われているが,麦の収穫期が水稲の育苗期と重なるため労働の短期間集中を生じるとともに,この時期が多雨期に当たるため麦収穫の遅れによる品質低下,水稲移植期の遅れによる収量低下等の問題が生じる。また,低コスト化を目的に水稲の直播栽培を導入する場合には,麦類の収穫終了後耕起をしてから播種を行うために播種期が適期より遅れ収量が不安定となる。このような問題を解決するとともに播種作業の省力化ができる水稲・麦同時の秋冬播栽培が提唱され,いくつかの試みがなされてきたが水稲種子の出芽率が低いために実用化には至っていない。姫田によると水稲を11月に麦と同時播種した場合,翌春の出芽率は数%から27%である。出芽率低下の原因は播種後まだ気温の高い時期に吸水し,発芽過程の進行した種子がその後の低温により死減するためとされ,コシヒカリ種子を1月あるいは2月に播種した場合には出芽率は50%から70%に及ぶ。このため種子の吸水を一定期間阻止することにより種子生存率を向上させ出芽率を高めることができると考えられ,宮内はパラフィン類を殺菌剤とともにコーティングする方法により40%近くの出芽率を得ている。しかし実用化のためにはさらに検討の余地が残されている。新たなコーティング技術を確立するためには疎水性物質によるコーティングが考えられるが,このときこれらの物質の溶剤として有機溶媒の使用が必要である。そこで,水稲種子の有機溶媒浸漬処理がその後の発芽に及ぼす影響について調査した。
1989-12-25

有機溶媒浸漬処理が水稲種子の発芽に及ぼす影響

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