水稲湛水直播の播種様式の改善 : 1.溝播無覆土方式による倒伏性の改善効果

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1.麦あと水稲湛水直播,とくに,麦わらすき込み条件における直播水稲の出芽苗立ちの安定化と耐倒伏性の向上を両立させる播種様式として,「溝播無覆土方式」を考察し,通常の覆土方式の場合と比較した。2.この方式では,播種時に作溝した深さ3cm,巾4cmの溝は,播種後除々に埋没して行ったが,この埋没速度は,麦わらすき込みの場合に早く,播種後3週間で溝深ははじめの3分の1以下になり,生育後期にはほとんど埋没してしまった。一方,わらなしの場合は埋没速度がやや遅く,成熟期にも1cmに近い溝深が残っていた。3.出芽苗立ちは,播種時の覆土深が1,2,3cmと増すにつれて悪化した。とくに,麦わらすき込み区では,この傾向が大であったが,溝播無覆土区では,麦わらすき込みの有無に関係なく,1cm覆土区と同等以上の良好な出芽苗立ち率が得られた。4.楜熟期における倒伏抵抗性は,覆土区では覆土深が増すにつれて大となったが,溝播無覆土区の値は1cm覆土区よりも強く,2cm覆土区よりもやや弱いという結果であった。溝の埋没程度の大きかった麦わらすき込みの場合の溝播無覆土区では,わらなしの場合に比べて,倒伏抵抗がやや大であった。5.以上のことから,「溝播無覆土方式」は,湛水直播栽培における出芽苗立ちの安定化と耐倒伏性の向上という相反する二つの問題を同時に解決する播種技術として有望であり,とくに,麦わらすき込みを前提とする場合に効果的な播種様式であると考えた。
日本作物学会の論文
1986-12-25

水稲湛水直播の播種様式の改善 : 1.溝播無覆土方式による倒伏性の改善効果

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