水稲機械移植栽培における緑化苗移植の適用性

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水稲機械移植栽培の低コスト化を目的に,麦あと普通期作における緑化苗移植の適用性を検討し,つぎのような成果を得た。1.緑化苗移植では,育苗中の潜水が播種時と緑化移行時との2回ですみ,硬化管理の省略とあいまって育苗が極めて省力的であった。2.緑化苗における苗マットの強度は植付上支障のない程度であったが,苗取りと田植機への苗供給には苗取り板を使用するのが妥当とみなされた。3.緑化苗の場合には,植爪の苗かき取り量が機械設定量よりも多くなる傾向を示し,その程度は板状爪の方が棒状爪より大きかった。ただ,植付精度は,欠株率や植付け深さからみて板状爪の方がよいと判断された。4.緑化苗では移植時に胚乳養分が残存しているため活着や本田初期生育が稚苗よりまさった。この傾向は麦わら施用条件でも同様であった。5.緑化苗・稚苗とも移植翌日に除草剤を通常の倍量処理した条件でも支障はみられず,この場合でも緑化苗は稚苗より初期生育がまさった。なお,ピラゾレート剤およびその混合剤処理では葉身に白化現象が若干認められたが,その程度は,緑化苗と稚苗との間で差がみられなかった。6.他方,基肥側条施肥は同金層施肥に比べ,窒素施用量が少ない(基肥で約34%減,総量では約17%減)にもかかわらず稚苗・緑化苗とも初期生育がまさり,収量も僅かながら多かった。7.以上より,緑化苗移植は,活着がよく収量的にも問題ないと解されることから,暖地の普通期栽培においては適用可能とみられ,稲作低コスト化の面で注目される。
日本作物学会の論文
1987-12-25

水稲機械移植栽培における緑化苗移植の適用性

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