水稲倒伏防止剤テトシクラシスの作用特性

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倒伏防止剤テトシクラシス5%粒剤の生育期処理が水稲の生育収量に及ぼす作用性を解明するため,水稲コガネマサリの稚苗栽培において,処理時期5段階(出穂34日前から1週間ごと)と薬量2段階(a当たり製品量で300,450g)の組み合わせで検討し,大要つぎのような結果を得た。1.出穂34日前処理では反応が異常に強く,その後の生育も極度に抑制されたが,この処理時期を除くと,本剤は処理時に伸長初期段階にある地上部諸器官の伸長を抑制し,また,処理の影響が及んだ葉位または節間の範囲からみて,本剤の作用期間は7日程度と推察された。2.どの処理時期でも稈長が短くなったが,その程度は処理時期のおそい方が大きく,出穂6日前処理で最も短稈化した。3.出穂34日前と出穂27日前の処理では枝梗と頴花の分化数が減少し,また,出穂20日前処理では2次枝梗の退化が多くなり,この時期までの処理ではそれぞれ1穂籾数が減少した。これに対し,出穂13日前と出穂6日前の処理では穂相面への悪影響が認められなかった。ただ,前者では穂長が若干短くなり,後者では穂首の抽出長が短くなった。4.いずれの処理区でも出穂の遅延は全くみられず,また,頴花の退化率,不稔歩合,登熟歩合も無処理区と大差がなかった。5.以上のことから,本剤は幼穂形成の後半期,具体的には止葉の出葉期以降の処理で適用性のあることが示唆され,倒伏防止用に現在使われている諸薬剤とは異なる適用性をもつものとして注目される。
日本作物学会の論文
1981-12-25

水稲倒伏防止剤テトシクラシスの作用特性

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