稚苗移植による水稲晩期栽培法に関する研究 : 第1報 晩期栽培における椎苗移植の晩限と品種選定
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概要
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水稲14品種を用い,箱育苗法による2葉期苗を,7月14日から8月3日までの間ほぼ1週間ごとに4回移植し,晩期栽培における稚苗移植の晩限と,適用品種選定について検討した。得られた結果はつぎのとおりである。1出穂期が安全限界内であったのは,7月14日植と同20日植との場合は供試品種全部が該当し,7月27日植では早期用品種とマンリョウ・タマヨドとであり,8月3日植ではユーカラのみであった。2出穂までの積算温度を用い,善通寺における過去20年間の温度記録と対応させ,安全限界までに必す出穂しうる移植晩限を推定すると,金南風は7月15日,サチワタリは同16日,東山38号は同17日,農林22号と秋晴は同19日,日本晴は同21日,マンリョウ・タマヨド・ふ系69号は同23日,ミョウジョウは同24日,コシヒカリとハマミノリは同25日,フジミノリは同26日,ユーカラは8月2日であった。3いずれの移植期においても,9月17日までに出穂した品種は低温障害による不稔が認められず,それ以降に出穂したものは不稔籾の多発と登熟の省悪化がみられた。4出穂期が9月10日を中心として,それぞれ前後1週間以内であるものは,いずれの移植期とも安定多収であり,この範囲内では移植期の早いものほど多収であった。なお,出穂期が9月17日以降のものでは出穂の遅れにつれて収量が激減した。5以上のことから,瀬戸内平坦地帯を対象として移植期ごとに適品種を選ぶとすれば,7月第3半旬移植では暖地中生種(東山38号級)から,7月第4半旬移植では暖地早生種(秋晴級)から,7月第5半旬移植では暖地極早生種(タマヨド級)から,7月第6半旬移植では早期用品種の一部(フジミノリ級)または北海道品種(ユーカラ級)から,8月第1半旬移植では北海道品種(ユーカラ級)のみから,それぞれ選定することが有利とみなされた。
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