水稲の生育・収量に及ぼす苗質の影響 : とくに,稚苗・乳苗と比べた短期加温育成乳苗の特徴について

概要

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1.水稲乳苗の育苗期間を,従来よりもさらに短縮するため,出芽後3日間を27℃程度に保ちながら,弱光条件で緑化し,直ちに本田に移植する栽培法の実用性について検討した。2.作期を2段階(普通期と晩期)とし,苗の種類は,上記の短期保温育成苗(5日乳苗)の比較対照として,普通の乳苗(8日乳苗)および椎苗を用い,2段階の施肥レベルで試験した。3.普通期栽培における5日乳苗は,8日乳苗に比べて生育ステージがやや遅れるものの,劣らない生育量を示し,収量は,多肥条件では劣ったが,標肥条件では椎苗よりも高く,8日乳苗にも劣らなかった。4.晩期栽培における5日乳苗は,8日乳苗よりも生育・収量が明らかに劣り,稚苗に比べても若干劣ったが,とくに多肥条件では収量が低下した。また,出穂期・成熟期の遅れも,普通期の場合より拡大する傾向を示した。5.以上のことから,短期間に保温しながら育成した乳苗は,四国地域の普通期栽培においてはかなりの適応性があり,実用可能と思われる。一方,晩期栽培においては,このような苗は普通期の場合に比べて不利であり,実用場面は限られてくると思われる。
日本作物学会の論文
1993-12-25