高リン食で飼育したラットの腎無細胞画分のCa,Mg,P量と脂肪酸組成

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体重約90gのSD系雄ラットにPレベル0.3%(標準食)と1.5%(高P食)を自由摂取させ3週間飼育した.解剖時に血漿,および腎臓器を摘出し,以後の実験に使用した.腎臓器中Ca,Mg,P量,血漿中Ca,Mg,P濃度と,腎機能の指標となる血漿中の生化学パラメーターを測定した.さらに腎臓については,常法により無細胞画分を分離し,各画分のCa,Mg,P量を定量し,Mt,Ms画分については過酸化脂質生成量,脂肪酸組成を調べ,高P食投与時の腎石灰化と腎機能について検討を試みた.1)高P食投与により飼料摂取量,体重増加量が低下し成長阻害がみられた.2)高P食投与により腎重量が増加した.血漿中Ca濃度は変わらなかったが,Mg,P濃度は低下した.腎機能の指標については,血漿中尿素窒素量およびクレアチニソが増加した.腎糸球体の機能低下を起こしていることが示唆された.3)腎臓中Ca,Mg,P量が増加した.Caは約170倍,Mgは7倍,Pは10倍量に達した.粗核画分,Mt画分,Ms画分,細胞質液いずれの画分にも著しいミネラルの蓄積が見られた.高P食では,腎ホモジネートの70〜80%は粗核画分に蓄積されるが,Mt,Ms画分にも著しく,Mt画分ではそれぞれが標準食群の20,3.7,10倍量,Ms画分では19,2.5,3.6倍量に達した.いずれの画分においてもCaの蓄積が最も顕著であった.4)高P食投与のMt画分では,標準食と比較して,16:0が有意に低値を,20:4が有意に高値を示し,飽和脂肪酸の割合は有意に低値であり,高度不飽和脂肪酸の割合は高値を示した.一方,Ms画分では,16:0が有意に高値を,22:6が有意に低値を示し,飽和脂肪酸の割合は有意に高く,高度不飽和脂肪酸の割合および不飽和指数は低値を示し,高P食投与によるMt画分,Ms画分の脂肪酸組成に異なった影響を及ぼした.5)高P食投与によるMt,Ms画分の過酸化脂質量に差は見られなかった.
武庫川女子大学の論文

高リン食で飼育したラットの腎無細胞画分のCa,Mg,P量と脂肪酸組成

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