酢酸ベンジルのラットに対する催奇形性試験

概要

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酢酸ベンジルの催奇形性をウイスターラットを用いて検討した.酢酸ベンジル1,000,500,100,10および0(対照)mg/kgを妊娠の6日目より15日目まで経口投与した.何れの投与群においても母ラットの一般症状には何らの変化も認められず, 死亡例もなかった.体重増加は1,000mg/kg投与群で抑制される傾向がみられたが有意ではなかった.また, 摂餌量にも差はなかった.胎児の体重は雌雄ともに1,000mg/kg投与群では対照群より有意な低下を示した.変異例として内臓の腎盂拡張, 骨格の波状肋骨, 亜鈴型椎体, 椎体欠如, 椎体分離および腰肋の出現頻度は1,000mg/kg投与群では有意な増加を認めたが, 他の投与群ではこれらの変異例は少なく, 用量依存性は認められなかった.以上の成績より, 本試験の範囲内では, 酢酸ベンジルには催奇形性は無いと考えられる.しかし, 1,000mg/kgの投与では胎児の発育に影響をおよぼすことが示唆された.
鹿児島大学の論文
1993-03-31