過マンガン酸加里による絹フイブロインの酸化生成物に関する研究

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著者らはKMnO_4を用いて絹フィブロインの酸性酸化を行い, CO_2及びNO_2 gasの生成を確かめ, それらの定量を行つた.次ぎに絹フィブロインの中性酸化においてKMnO_4の量を異にした場合のアミノ態窒素及びtyrosineの定量を行つた.絹と同量のKMnO_4を用いた場合酸化濾液中にはアミノ態窒素量が最も多く原絹フィブロインの約1/3に相当する量が溶出していることを知り得た.tyrosineはアミノ態窒素量の変化に反し少量のKMnO_4による酸化でも急激に減少しKMnO_4の量が多い場合には消滅する.酸化濾液中には常にほとんど存在しない.絹フィブロインの中性酸化液の減圧濃縮は通常の方法では困難であるがcapillary tubeを有する原液補給口を挿入することにより多量の液を連続的に容易に減圧濃縮することに成功した.酸化液よりcationの除去にイオン交換樹脂を使用し酸化生成物を4つのフラクション(PartI, II, III, IV)に分離しそれらについて化学的性質を調べた結果は次ぎの通りである.(1)Part I及びIIは炭化分解点, 析出の条件, paper chromatographyの結果からほぼ同一物である.何れも7種のアミノ酸, すなわちglycine, alanine, valine, leucine, arginine, glutamic acid, aspartic acidから構成されるpeptide結合を有する化合物である.構成アミノ酸中, 量的にはglycine, alanineが特に多い.(2)Part IIIは窒素を含まない.還元力, ignition lossの定量結果からこれは蓚酸カルシウムであることが判る.それゆえ, 酸化過程において蓚酸の生成が確認された.(3)Part IVは4種のアミノ酸すなわちglycine, alanine, valine, leucineから構成されるpeptide結合を有する化合物である.量的にはglycine, alanineが大部分で他のアミノ酸は極く少量である.
鹿児島大学の論文
1956-11-30

過マンガン酸加里による絹フイブロインの酸化生成物に関する研究

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