海亀卵白の蛋白質に関する研究 : (第1報) とくに電気泳動, 塩濃度勾配抽出およびCM-セルロースカラムクロマトグラフィー
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概要
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海亀卵白の一般性状を調べ, ついで, 電気泳動, 塩濃度勾配抽出およびイオン交換セルロースカラムクロマトグラフィーにより, 構成蛋白質の分離を行ない, その性質を調べた.その結果を要約すればつぎの通りである.1)海亀卵白の乾物量は1.6%, 乾物中の窒素含量は8.5〜8.8%で, ニワトリ卵白に比し著しく低い値がえられた.したがって, 生卵白中の粗蛋白質量は0.86%となり, 異常に低いことが認められた.2)海亀卵白のpH値はニワトリ卵白の値より高い.これは卵白中に等電点の高い蛋白質が相対的に多く存在することを示唆するものであったが, 電気泳動により等電点の高いComp.T_2,T_3(IEP;5.6〜5.8,9.7〜9.9)が卵白蛋白質中80〜90%を占めることを認めた.3)硫安による塩濃度勾配抽出においては, アルブミンよりも高濃度硫安(0.9→0.6飽和)で溶出される成分が37〜38%を占めていた.この成分はCM-セルロースカラムクロマトグラフィーにより5個の成分(Comp.E, F, G, H, J)に分画され, Comp Hはニワトリ卵白アルブミンと類似の分子量で糖含量17%の塩基性蛋白質であった.Comp.E, F, Gは分子量がComp.Hよりやや小さく, 糖を含まない蛋白質であった.Comp.Jは分子量およびCM-セルロースカラムクロマトグラフィーによる溶出pHからリゾチームと考えられた.4)塩析でえられたアルブミンについて, CM-セルロースカラムクロマトグラフィーを行なった結果, pH4.0で吸着されない成分がアルブミン画分中約85%を占めていた.この特異なアルブミンをST-オボアルブミン(Seaturtle ovalbumin)と名づけた.
- 鹿児島大学の論文
- 1974-03-20
著者
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福永 隆生
畜産化学研究室
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古賀 克也
畜産化学研究室
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古賀 克也
Laboratory of Animal Biochemistry
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福永 隆生
Laboratory of Animal Biochemistry
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