アミノ酸及び類似構造物質の酸化よりみたる絹Fibroinの酸化

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絹Fibroin中のアミノ酸glycine, alanine, serine, tyrosine, arginine, lycine及び若干の類似構造物質としてmethylamine, propionic acid, ε-amino caproic acid, caproic acid, lactic acid, phenol等につきKMnO_4を用いて酸性で70℃10分乃至60分酸化を行いKMnO_4の消費量を測定した。絹Fibroin, 家蚕テグス, Amilanについては中性及び酸性にて常温酸化を行い消費量を測定した。(1)5分乃至10分間のKMnO_4の消費量を序列すれば次の如し。tyrosine>phenol》lactic acid>arginine>lysine>serine>caproic acid>methylamine>ε-amino caproic acid>propionic acid, α-, β-alanine, glycine.(2)ε-amino caproic acid及びcaproic acidの消費量は時間に比例して増加しtyrosine, phenol, lactic acidは5分乃至10分の如き短時間で反応は完了しその他のものは増加するが反応速度は低下する。(3)家蚕テグスは絹Fibroinに比し酸化抵抗性が大であるがこれは物理的条件(surface area/g)の相異に基因する。(4)絹Fibroinは中性酸化の場合は作用時間と共にKMnO_4消費量は増大し強伸度は短時間に急激に変化するがAmilanは消費量は極めて少なく強伸度変化も殆んどない。両者共に酸性酸化の際は中性におけるよりも酸化は容易に進行し強伸度低下も著しい。(5)上述の結果から次のことが考えられる。Amilanの酸化分解は縮合鎖状分子の末端基部から起り徐々に分子の中央部に及ぶ。絹Fibroinの酸化分解はtyrosine部のフエノール核, 他のアミノ酸残基及び末端基部から起りtyrosine部の反応は極めて迅速で他の部分のそれは緩慢である。かつ側鎖の種類により反応速度には遅速がある。側鎖の酸化分解の結果二次的にpeptide連鎖の開裂崩壊が行われるために強伸度の急激なる変化も起るのである。
鹿児島大学の論文
1953-12-25

アミノ酸及び類似構造物質の酸化よりみたる絹Fibroinの酸化

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