日本で飼育されている犬における2群コロナウイルスの流行(ウイルス学)
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概要
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下痢症の原因ウイルスである犬コロナウイルス(CCoV)は, 猫コロナウイルスと共に1群コロナウイルスに分類されている.しかし, 英国において, 呼吸器疾患を示す犬の気管組織から牛コロナウイルス(BCoV)や人コロナウイルスOC43株により近縁な2群コロナウイルス遺伝子が検出されることが報告された.我々は, この報告で, 日本で飼育されている犬および猫の2群コロナウイルスに対する抗体保有状況をBCoVを用いた中和試験によって調べた.猫血清104検体は全てBCoVに対する抗体は陰性(<1:5)であった.しかし, 犬血清898検体では, BCoVに対して160検体(17.8%)が抗体陽性であった.その抗体価は, 5倍から640倍以上に分布し, 160倍の抗体価を示す検体が最も多かった.CCoVのワクチン接種歴が明らかな198検体についてBCoVとCCoV抗体価を比較した結果, 両者には全く相関関係が認められなかった.呼吸器症状を示す子犬, 呼吸器症状から回復した子犬, あるいはBCoVに対する抗体を持つ子犬の合計10頭の咽口頭ぬぐい液を用いて2群コロナウイルスが特有に持つhemagglutinin/esterase遺伝子の検出をRT-PCRにより実施した.その結果, 2頭がhemagglutinin/esterase遺伝子陽性であった.これらの結果は, 日本の犬でも, 下痢の原因となる既知のCCoVと同時に, 未知の2群コロナウイルスの流行が存在することを強く示唆していた.
- 2006-01-25
著者
-
田島 朋子
獣医微生物学講座
-
宝達 勉
北里大学獣医畜産学部獣医外科学教室教
-
佐藤 久美
北里大学獣医畜産学部獣医伝染病学教室
-
佐藤 研志
北海道十勝家畜保健衛生所
-
佐藤 幹
東北大学農学部家畜栄養学研究室
-
小山 弘之
北里大学獣医伝染病学教室
-
高野 友美
北里大学獣医畜産学部獣医伝染病学教室
-
宝達 勉
北里大学獣医伝染病学教室
-
兼島 孝
北里大学獣医畜産学部獣医伝染病学教室
-
本川 賢司
北里研究所生物製剤研究所
-
小山 弘之
北里大学獣医畜産学部獣医伝染病学教室
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