固相化抗CD3抗体および組み替えヒトインターロイキン-2を用いた犬の末梢血リンパ球の大量培養とその免疫療法への応用

概要

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インターロイキン(IL)-2は,末梢血リンパ球(PBL)におけるT細胞のIL-2レセプターに結合して増殖・分化を誘導しリンバ球活性キラー細胞を誘導するする.しかし,この因子単独では,犬(c)PBLを大量に増殖培養させることは出来ない.我々は,組み替えヒトr IL-2を用いたcPBLの培養系に固相化抗CD3抗体を用いてそのリンパ球の増殖応答を試みた.4頭の健康犬から得たcPBL (3×10^7)を固相化イヌ抗CD3抗体およびrIL2により培養した.培養細胞数は10日目で1×10^9個に達した.培養14目目の細胞表面マーカーは,CD4^+細胞とCD8^+細胞が優位であった,14日目の培養細胞(1×10^9)を生理食塩水に混合して供試犬の静脈内へ投与した.細胞投与後,cPBL, CD4^+^CD8^+およびCD4^-CD8^-(DN)細胞は著しく増加した.DN細胞中にはNK細胞やγδT細胞の存在も考えられるため,これら細胞による抗腫瘍効果を期待できる可能性が引示唆された.しかし,今後はCD21^+陽性細胞の検出によりB細胞との認識が必要と思われる.培養細胞投与後は,臨床的な異常所見は認められなかった.本研究によって,固相化抗CD3抗体およびrIL-2を用いたイヌPBLの大量培養法を用いたリンパ球輪注の系を作成することができ,その免疫療法として臨床応用の可能性が示唆された.
2003-03-25