ウシにおける血清アポリポ蛋白B-100の濃度

概要

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野外の健康牛(ホルスタイン, 黒毛和種; n=735)および病牛(n=146)の血清アポリポ蛋白B-100(アポB-100)の動態を把握し, 臨床分野における有用性を検討した. 血清アポB-100濃度は一元放射免疫拡散法(SRID)により測定した. 雄牛の血清アポB-100濃度(mean±SD : ホルスタイン; 101±76μg/ml, 黒毛和種; 106±46μg/ml)は, 雄牛(ホルスタイン(泌乳期) ; 259±63μg/ml, 黒毛和種; 210±46μg/ml)に比較し有意に低値であった(p<0.001). 一方, 去勢牛の血清アポB-100濃度は, ホルスタインで290±86μg/ml, 黒毛和種, 302±90μg/mlといずれも雌牛の値に近似した. 疾病別の血清アポB-100濃度は, 第四胃変位, ケトーシスおよび脂肪肝で減少した. 以上から, 血清アポB-100濃度は, 品種や性により異なるため, これらの値を十分に把握し臨床に応用する必要があると思われた. また, 血清アポB-100濃度は, 脂質代謝障害の治療観察や予後判定に有用であると考えられた.
社団法人日本獣医学会の論文
1997-07-25