ネココロナウイルスType IおよびType IIの日本のネコにおける流行
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概要
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日本に流行しているネココロナウイルスのTypeを調べた. 感染ウイルスの識別はType IのFIPVには反応しないモノクローナル抗体を用いた競合ELISA法およびType IIのFIPV79-1146株を攻撃ウイルスとした中和試験により実施した. 合計1,079例の血清をIFAで調べたところ, 42例のすべてのFIP発症ネコ, 138例(138/647;21.3%)の病院外来ネコおよび57例(57/390;14.6%)の健康ネコの血清がネココロナウイルス抗体陽性であった. これらの237血清についてネココロナウイルス感染の識別を実施した結果, 発症ネコでは29例(69%)がFIPV Type I, 13例(31%)がFIPV Type IIの感染と思われた. 病院外来ネコでは, 111例(80.4%)がType IのFIPVまたはFECV感染であり, 14例(10.1%)がType IIのFIPVまたはFECV感染と思われた. 残りの13例(9.4%)は, Type IかType IIかの識別ができなかった. 健康ネコでは57例すべてがType IのFIPVまたはFECV感染であった. 以上の結果から, 日本ではType Iのネココロナウイルスの流行が多く, Type IIのネココロナウイルスの流行は少ないことが, 明らかとなった. さらに健康ネコでType IIの感染がなかったことから, 日本では79-1683株のようなType IIのFECVの流行はほとんどないように思われた.
- 社団法人日本獣医学会の論文
- 1992-06-15
著者
-
山田 仁美
北里大学獣医畜産学部獣医伝染病学教室
-
宝達 勉
北里大学獣医畜産学部獣医外科学教室教
-
石塚 譲
北里大学獣医畜産学部獣医伝染病学教室
-
小山 弘之
北里大学獣医伝染病学教室
-
岡田 奨
北里研究所
-
岡田 奨
北里大学獣医畜産学部獣医伝染病学教室
-
宝達 勉
北里大学獣医伝染病学教室
-
小山 弘之
北里大学獣医畜産学部獣医伝染病学教室
-
Hohdatsu Tsutomu
Department Of Veterinary Surgery School Of Veterinary Medicine And Animal Sciences Kitasato Universi
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