大規模集積システム設計教育研究センターの構想と今後の展開

概要

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VLSI設計試作を支援する全国規模のセンターを日本にも設立しようとする試みは、1980年代はじめに米国でいわゆるMOSIS(MOS Implementation System)が始まった直後に遡ることができる。当時、東京大学工学部の菅野卓雄教授(現東洋大学学長)を中心とした総合研究や調査委員会活動が活発に行われ、日本の各半導体メーカの代表委員と全国の拠点大学の教官が参画し、内外の教育カリキュラムの現状、チップ試作活動の現状、日本のあるべき組織等の調査を数年に渡り行い、一つの提案書にまとめた経緯がある。提案書では、いくつかの段階があるが最終的には日本の東西に2つのセンターを設立するとともに、サテライト的サブセンターを全国拠点大学数カ所に設置し、さらにそこから全国の大学とネットワークで結ぶというものであった。この提案書は米国のMOSISを意識したものであったが、同時に日本の得意分野とされていた製造技術の教育・研究にも考慮が払われたものであり、VLSI技術に関するCOE構想の先取りであった。残念ながら種々の理由やその後の日米半導体摩擦等々の影響もあって実現をみることはなかったが、今回、構想は多少変化しているものの、同様の目的のセンターが関係各位の理解と協力により実現に向け始動はじめたことは、当時の委員の一人としても大変感慨深い。本稿では平成8年4月より発足予定の「大規模集積システム設計教育研究センター」についてその概要を紹介し、今後の運営の方向について報告する。
社団法人電子情報通信学会の論文
1996-03-11

大規模集積システム設計教育研究センターの構想と今後の展開

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