自律エージェントと実世界との協応について

概要

論文の詳細を見る
人間の行なう認知的情報処理を含め自然界の現象の多くは複雑系であり,従来の物理学がとってきた還元的手法ではうまく説明できないことがわかってきている.我々は構成論的手法を用いて複雑系を理解することを基本方針として,人間の認知機構を非線形非平衡系としてモデル化することを目的とした「認知的協応アーキテクチャに関する研究」を進めている.協応するということは複数の非線形非平衡系が相互作用することによって互いの間に一つの秩序が形成されることを指す.これをモデル化するために計算機上で実際に複雑系を実現する必要があり,マルチエージェントによる非線形非平衡系の実現に関する研究を進めている.このモデルは行動選択ネットワークを基本アーキテクチャとしており,集中制御系を持たず自律エージェント間での相互作用により合目的な動きが実現される.このモデルには潜在的に非線形系としての性質があり,本論ではシミュレーションによりマルチエージェントの持つ非線形性について考察する.このモデルが複雑系としての基本的な挙動を示すことが確認できれば,エージェント集合間,またはエージェント集合と実世界(人間)との間において協応構造を形成することができると考えられる.
社団法人情報処理学会の論文
1994-09-20

自律エージェントと実世界との協応について

スポンサーリンク

概要

著者

関連論文

スポンサーリンク