モノクローナル抗体を用いたトマト系タバコモザイクウィルス(TMV)の抗原特性
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概要
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TMVのトマト系弱毒株(L_<11>A)で免疫したマウスから常法によりハイブリドーマを作製し抗体産生細胞株を得た。このハイブリドーマの11株の培養上清および腹水を採集して, TMVのL_<:11>A, トマト系強毒株(L, CH2), 普通系(OM), トウガラシ系(P), ワサビ系(W), キュウリ緑斑モザイクウィルス-キュウリ系(Cu)およびスイカ系(Wa)に対する反応特異性を2種類の間接ELISA, 競合法ELISA, リングテスト, および寒天ゲル内二重拡散法を用いて解析した。この結果, 11株中5株の抗体はトマト系(L_<11>A, L, CH2)とのみ反応したが, L_<11>Aとのみ反応する抗体は得られなかった。他の6株の抗体はトマト系の他に各ウイルス系統(OM, P, W, Cu等)とも反応した。このうちの1種(8C8)はCH2に対して反応が弱く, トマト系の中で抗原性に違いがある可能性が示唆された。また, この抗体はトマト系よりもPに対して強く反応するheterospecific抗体であった。また, L_<:11>Aとそのコート蛋白に対する反応特異性から11種のうち10種はウイルス粒子の4次構造を認識する抗体であり, 他の1種(6F11)は粒子の表面に現れているコート蛋白質に存在するエピトープに対する抗体であった。以上の反応特異性の解析からトマト系には, 少なくとも8個のエピトープが確認された。このなかにはウサギ抗血清ともっとも強く反応するエピトープが含まれていた。また, これらの抗体は力価1:2,560を示しウサギ抗血清と同等に使用でき, TMVのトマト系の検出のみならず他のtobamovirusの系統(OM, P, W, Cu)の検出も可能であった。
- 日本植物病理学会の論文
- 1989-04-25
著者
-
匠原 監一郎
日植防研
-
高橋 義行
日本植物防疫協 研
-
高橋 義行
(社)日本植物防疫協会研究所
-
高橋 義行
日本植物防疫協会研究所
-
匠原 監一郎
日本植物防疫協会研究所
-
亀谷 満朗
農林水産省農業研究センター
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