茨城県でダイズから分離されたアズキモザイクウイルスの諸性質
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概要
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1989年7月、茨城県において軽いモザイクと委縮を生じたダイズからアズキモザイクウイルス(azuki bean mosaic virus,ABMV)を分離し、その諸症状を調べた。本ウイルスは汁液接種した8科33種の植物のうち3科8種が全身感染し、4科14種が局部病班または無病徴感染した。感染したダイズの種子はダイズモザイクウイルスと同様に放射または鞍掛状斑紋型の褐斑模様を発現した。また、幼苗感染したダイズ品種「岩手早生黒目」の種子で0.8%の伝染がも認められた。ジャガイモヒゲナガアブラムシとモモアカアブラムシで非永続的に伝搬した。本ウイルスの粒子は長さ約750nmのひも状であった。インゲンマメ病葉の細胞質内には束状に配列したウイルス粒子とpotyvirus特有の風車状および渦巻状の細胞質内封入体が観察された。本ウイルスはDAS-ELISAによりABMVに対する抗血清と反応陽性であった。ダイズの早生品種晩生品種ともに幼苗感染で収量が40~50%減少した。以上の結果から、本ウイルスはは既知のABMVと比較し、宿主範囲が広く、病原性のやや強い分離株とみなされた。Azuki bean mosaic virus (ABMV) was isolated from Glycine max showing mild mosaic and stunt on the leaves, collected in Ibaraki-Prefecture, in July, 1989. ABMV was transmitted by sap-inoculation to 8 species systemically and 14 species locally out of 33 species in 8 families and by aphids, Aulacorthum solani and Myzus persicae in a non-persistent manner.Seed transmission was recognized in 0.8%of the seeds of soybean cv."Iwate-wase-kurome" inoculated at seeding stage. The soybean plant infected with ABMV produced mottled seeds, which were radical- or saddle-like. The virus particles were flexuous rods, bout 750 nm in length. In ultrathin virus-infected tissues, cytoplasmic inclusions containing pinwheels and scrolls were observed in the cytoplasms. In DAS-ELISA, the virus reacted strongly with antiserum to ABMV. The weight of plants and seed of two soybean cv."Okuhara 1" and "Iwate-wase-kurome" inoculated with ABMV at the seedling stage was about 40~50% less than that of healthy plants.
- 岡山大学資源生物科学研究所の論文
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