Prostaglandin F_2αの陣痛誘発効果に関する基礎的ならびに臨床的研究

概要

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近年Prostaglandinの産婦人科領域における臨床応用の可能性が注目されるようになつてきいてるが, 我々は特にProstaglandin F_<2α>の陣痛誘発における意義を臨床的ならびに我々が開発した体外子宮潅流保存装置を用いて臓器レベルで検討した. 臨床成績では, 妊娠38週〜42週の53症例の妊婦を対象にProstaglandin F_<2α>をDrip法, Infusion punp法で投与し, その陣痛誘発, 促進効果を検討し, 併せて投与前, 投与60分後の妊婦の軟産道, 全身状態, 胎児の状態, 及び副作用について検した. すなわち53症例中42症例に陣痛誘発及び促進効果に成功し, その内38症例は分娩まで遂行させることが出来た. これら全症例では, 毋児共に副作用を思わせる所見を認めなかつた. 次に子宮筋収縮におよぼすProstaglandin F_<2α>の効果を直接臓器レベルで検討するため, 摘出したヒト子宮, すなわち筋腫子宮, 絨毛性腫瘍子宮を採用した. 本剤の作用機序を知るための手段として, oxytocin投与, 電気刺激試験をも併せて行い, 子宮筋電図, ならびに潅流液の理化学検査所見の動態について検討した. 成績は子宮筋電図では, その脱分極像はProstaglandin F_<2α>投与例で, きわめて生理的状態に近似する持続的なリズミカルな像を呈し, oxytocin投与例にみられるような不整, 且つ激しい脱分極像を認めることはなかつた. 潅流中の潅流液の理化学検査の動態でも, 非投与例と比して, Prostaglandin F_<2α>の投与時になんら特殊な異常は認めなかつた. これらの成績から, Prostaglandin F_<2α>が子宮に直接作用してその収縮を促進することが判明し, 臨床的にも使用して価値ある物質であると考えた.
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1971-05-01

Prostaglandin F_2αの陣痛誘発効果に関する基礎的ならびに臨床的研究

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