超音波断層法による卵胞の観察 : 経膣的走査法の検討

概要

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超音波断層法による卵胞形態のより簡便かつ有効な方法の開発を目的として,経膣的走査法による検討を行い,従来行われている経腹壁的走査法と比較検討した.経膣法は70名の不妊症患者を対象に,電子セクタ走査方式による診断装置(周波数2.4,3.5,5MHz)により,膣内または膣入口部より行い,一方経腹壁法では15名の正常月経周期をもつボランティアを対象に,電子リニア走査方式による排卵日前後の卵胞形態の連続的な観察を行った.経腹壁法による観察の結果,推定排卵日3日前(day -3)から推定排卵日(day 0)以後2日目(day +2)まで,卵胞径は平均15.6±4.0,17.5±1.5,19.8±2.3,21.8±1.8,20.4±2.6,19.0±2.4mmの推移を示した.卵胞の検出率や卵胞形態の識別は両方法とも同程度であるが,被検卵胞までの平均距離は,経膣法で5.6cmであるのに比して経腹壁法では7.2cmとなり,経膣法で有意に短く(p<0.01),かつ膀胱充満法による卵胞への影響も少たいことから,自然な状態の卵胞をより近接して観察しうる点で「経膣法」がより有利であると考えられた.
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1983-02-01