HPL測定とDHA-S負荷試験による胎児胎盤機能の研究

概要

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胎児-胎盤-母体系の機能を具体的に把握するため, 妊婦尿中 estriol と, 血中 hPL ならびに hCG を, 経週的あるいは経口的に同時測定し, これら三者の静的な状態における分泌動態からこの系の総合機能を, また DHA-S 負荷試験を行い, 動的な状態での尿中 estriol の動態分析から, 胎児機能と胎盤機能をある程度分離して把握することを試みた. 1. 正常妊婦における尿中 estriol 量と, 血中 hPL 量は, 妊娠初期より末期に向つて漸増するパターンを示し, 相関関係が認められたが, 血中 hCG 量は妊娠初期にピークがあり, 末期に向つての漸減傾向を示した. 2. 胎盤娩出後の血中 hPL 量と hCG 量の変化は, hPL 量が胎盤娩出後3時間前後で検出不能になるのに対し, hCG 量は3時間以内では著変を認めなかつた. 3. 異常妊娠では, 切迫流産のうち妊娠を維持出来なかつた症例の estriol 量 hPL 量はともに低値であるか, あるいは正常範囲にあつてもその後の増加傾向がみられず, 子宮内胎児死亡症例では, 両者とも極めて低値であり, 無脳児妊娠では estriol 量のみが, 胎盤機能不全症例では hPL 量のみが低値を示した. また, 重症の Rh sensitization の一症例では, 妊娠第40週で突然 estriol 量の減少がみられた. 4. 妊娠個体に DHA-S 50mg を点滴静注負荷した際, 尿中 estriol 量の急増を認めたのは, 正常妊娠中期, 末期, 無脳児妊娠と胎盤機能不全症例であり, 子宮内胎児死亡, 胞状奇胎妊娠, 褥婦では estriol 量の増加は認められなかつた. 以上の成績から estriol の測定は胎児一胎盤機能の, hPL の測定は胎盤機能の示標となり, この両者の同時測定に DHA-S 負荷 test を加えると, 胎児-胎盤機能につき, 胎児機能と胎盤機能をある程度分離して把握出来ると考えられる.
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1973-05-01

HPL測定とDHA-S負荷試験による胎児胎盤機能の研究

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