コチニン測定による妊婦受動喫煙の実態調査と胎児発育に及ぼす影響

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妊婦における受動喫煙 (passive smoking) の実態とその母児への影響について, アンケート調査および煙草の主成分であるニコチンの代謝物-コチニンの母児血中, 尿中濃度の測定から検討を行い, 以下の結果を得た。1) 妊婦259名に行ったアンケート調査の結果, 受動喫煙を全く自覚しない妊婦はわずか15.1%であり, 喫煙妊婦6.6%を含めて煙草に関わっている妊婦は84.9%にも達した。2) 母体尿中コチニン濃度はアンケート調査による喫煙被曝程度と相関して増加する傾向を示した。新生児〓帯血中や新生児尿中においても母体尿中と同様喫煙被曝との相関が認められた。また家庭内外で強度の受動喫煙を自覚した妊婦の尿中コチニン濃度は喫煙妊婦のレベルにも匹敵する高値を示した。3) 母体尿中コチニン濃度が9 ng/mlを越える例では, 9 ng/ml未満の例に比し有意に新生児出生時体重の減少傾向が認められた。また, 母体尿中コチニン濃度の上昇と新生児出生時体重の減少との間にはχ^2検定で有意な相関が認められた。以上の成績より, 大多数の妊婦は何らかの形で喫煙に被曝していることが明らかとなるとともに, その被曝を表わす客観的なパラメーターとして母体尿中あるいは新生児〓帯血中および尿中コチニン濃度の測定が有用であることが判明した。さらに, 尿中コチニン濃度の上昇を伴う妊婦の強度の煙草への被曝は児発育にも抑制的な影響をきたすことが示唆された。つまり, コチニンの測定は妊婦の環境因子としての喫煙被曝の程度を客観的に把握する確かな一手段と考えられた。
1989-04-01

コチニン測定による妊婦受動喫煙の実態調査と胎児発育に及ぼす影響

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