Insulin-Like Growth Factor-I (IGF-I)による妊娠初期絨毛トロホブラストの増殖ならびに分化機能の局所調節
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概要
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着床後旺盛な増殖・分化をとげる絨毛細胞の機能発現に局所成長因子の関与が推察される。そこで局所因子としてのInsulin-Like Growth Factor-I (IGF-I)の役割を明らかにするため, 妊娠初期絨毛におけるIGF-I産生とその受容体ならびに生物作用を検討した。IGF-IとIGF-I受容体の局在は, 抗IGF-I抗体と抗IGF-I受容体抗体を用いて免疫組織学的に検討し,胎盤絨毛のIGF-I産生は, 無血清培地で培養した妊娠初期絨毛培養液をSephadex G-75カラムでゲル濾過してIGF-I免疫活性の溶出を測定することによって調べ, さらに培養液中への甲状腺ホルモン (T_3) 添加がIGF-I免疫活性物質分泌に及ぼす影響を検討した。IGF-Iのトロホブラスト増殖能に及ぼす影響は抗proliferating cell nuclear antigen (PCNA) 抗体を用い増殖期細胞標識率を求めて検討し, 他方, 分化機能に及ぼす影響はhCG, hPL分泌能から検討した。IGF-IとIGF-I受容体の局在は, 4〜5週絨毛では共にcytotrophoblast (C細胞)に認めたが, 6〜12週絨毛ではC細胞とsyncytiotrophoblast (S細胞) に認めた。絨毛培養液のゲル濾過では^<125>I-IGF-I溶出分画近傍にIGF-I免疫活性の溶出を認め, 10^<-8>MT_3添加によりIGF-I免疫活性物質の溶出量は増加した。IGF-I添加は, 4〜5週絨毛培養系ではC細胞のPCNA染色陽性率を増加させたが, 絨毛のhCG, hPL分泌には影響を与えなかったのに対し, 6〜12週絨毛培養系では, C細胞のPCNA染色陽性率を増加させた後hCG, hPL分泌を促進した。以上の成績より妊娠初期絨毛トロホブラストはIGF-I免疫活性物質を産生すると同時にIGF-I受容体を有し, IGF-Iは4〜5週絨毛ではC細胞の増殖を, 6〜12週絨毛ではC細胞の増殖とトロホブラストの分化機能を促進し,胎盤発育と機能発現の局所調節因子として重要な役割を担うことが示唆された。
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1994-02-01
著者
-
丸尾 猛
神戸大学医学部産科婦人科学教室
-
望月 眞人
神戸大学医学部産科婦人科学教室
-
望月 眞人
神戸大学医学部産婦人科
-
松尾 博哉
神戸大学医学部産科婦人科学教室
-
松尾 博哉
Graduate School of Health Sciences,Kobe University
-
松尾 博哉
神戸大学医学部産科婦人科学講座
-
村田 一男
医療法人竹村医学研究会小阪産病院
-
村田 一男
神戸大学医学部産科婦人科学教室
-
松尾 博哉
Graduate School Of Health Sciences Kobe University
-
松尾 博哉
神戸大学医学部保健学科
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