顆粒膜細胞の増殖, 分化のEpidermal Growth Factor(EGF)によるAutocrine調節
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概要
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各種成長因子のうち, insulin, insulin様成長因子(IGF-I), 甲状腺ホルモンは, 卵巣において FSH 作用の amplifierとして働き, 顆粒膜細胞の機能分化を促進することを既に報告した. そこで本研究では, Epidermal growth factor (EGF)に注目し, 顆粒膜細胞の増殖, 分化調節機構における生物作用の特性を卵胞の発育過程において明らかにしようとした. まず, ブタ卵巣の各発育段階卵胞より得た顆粒膜細胞を, 無血清培地で, FSH, IGF-Iとともに EGF の存在下, 非存在下に培養し, 細胞増殖並びに progesterone, estradiol分泌に及ぼす影響を検討した. 次いで, ^<125>I-EGF結合の Scatchard解析から顆粒膜細胞のEGF受容体 (EGF-R)を調べ, 他方, 顆粒膜細胞培養液の Sephadex G-75ゲル濾過によつて, EGF免疫活性の溶出を測定して顆粒膜細胞の EGF産生を検討した. その結果, EGFは, 小卵胞由来顆粒膜細胞では発育過程にある細胞の増殖を促進するのに対し, 大卵胞由来顆粒膜細胞では細胞の増殖を促進せず, estradiol分泌を抑制し, progesterone分泌を促進することを認めた. また, ^<125>I-EGF結合の Scatchard解析より顆粒膜細胞には EGF-Rが存在し, その受容体数は大卵胞由来顆粒膜細胞で大であることを認めた. 更に顆粒膜細胞培養液のゲル濾過において, EGFのマーカーとした ^<125>I-hEGF溶出分画近傍にEGF免疫活性の溶出ピークを認めた. 以上の知見より, 顆粒膜細胞は自ら EGFを産生すると同時に EGF受容体を有し, EGFはautocrine 系調節によつて, 小卵胞由来の低分化型顆粒膜細胞では増殖を促進する一方, 大卵胞由来の分化型顆粒膜細胞では estradiol分泌を抑制し, progesterone分泌を促進するという二面的な生物作用を持つことが示唆された.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1992-01-01
著者
-
丸尾 猛
神戸大学医学部産科婦人科学教室
-
望月 眞人
神戸大学医学部産科婦人科学教室
-
望月 眞人
神戸大学医学部産婦人科
-
松尾 博哉
神戸大学医学部産科婦人科学教室
-
平松 晋介
神戸市立西市民病院 産婦人科
-
松尾 博哉
神戸大学医学部産科婦人科学講座
-
平松 晋介
神戸大学医学部産科婦人科学教室
-
松尾 博哉
Graduate School Of Health Sciences Kobe University
-
松尾 博哉
神戸大学医学部保健学科
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