子宮頚部扁平上皮癌におけるEGF受容体ならびに癌遺伝子myc産物の発現に関する免疫組織学的検討
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概要
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近年epidermoid carcinoma cellでのEGF受容体(EGF-R)発現の異常増幅, さらにはEGF-R と癌遺伝子erb-B産物との類似性が明らかにされ, 細胞の癌化とEGF-Rならびに癌遺伝子発現の関連が注目されている. そこで, 子宮頚部の異型上皮, 上皮内癌, 浸潤癌ならびに転移リンパ節でのEGF-R とmyc産物の発現を免疫組織学的に検討し, 子宮頚部扇平上皮の癌化さらには転移形成との関連を考察した. EGF-R, myc産物の組織内発現は, monoclonal anti-EGF-R, affinity purified sheep polyclonal anti-myc specific peptideをそれぞれ第一抗体として, avidin/biotin immunoperoxidase法によって検討し, 各病理組織所見との関連を探つた. 正常子宮頚部扁平上皮での免疫染色は, EGF-R, myc産物ともに陰性であつた. 異型上皮の場合, EGF-Rの免疫染色は上皮のほぼ全層において陽性であつたが, myc産物の免疫染色は陰性であつた. 上皮内癌の場合, EGF-Rの免疫染色は異型上皮の場合と同様に上皮のほぼ全層において陽性であつたが, myc産物の免疫染色はなお陰性であつた. 浸潤癌の場合, 組織型によって染色性は異なり, 大細胞非角化型癌と角化型癌ではEGF-R, myc産物の免疫染色は陽性であつたが, 小細胞型癌では両者の免疫染色は陰性であつた. 正常リンパ節では, EGF-R, myc産物の免疫染色は陰性であつたが, 転移リンパ節では, EGF-R, myc産物の免疫染色は強陽性であつた. 以上のように, EGF-Rおよびmyc産物は子宮頚部上皮の癌化, さらには転移形成と密に連動して発現し, その発現レベルは子宮頚部病変の悪性化を反映する新しい指標となる可能性が示唆された.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1988-01-01
著者
-
丸尾 猛
神戸大学医学部産科婦人科学教室
-
望月 眞人
神戸大学医学部産科婦人科学教室
-
望月 眞人
神戸大学医学部産婦人科
-
赤堀 泰一郎
神戸大学医学部産科婦人科学教室
-
山崎 正明
神戸大学医学部産科婦人科学教室
-
赤堀 泰一郎
神戸大学医学部産婦人科
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