上皮性卵巣腫瘍におけるCA 125とCEAの腫瘍特異性に関する研究
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
概要 上皮性卵巣腫瘍におけるCA 125 とCEAの腫瘍特異性を検討する目的で、ます原発性卵巣癌患者を中心に治療前およひ治療経過中の血中CA 125 とCEA値を同時系統的に測定し、その診断揩髣}ーカーの有用性と限界を対比した。次いで、CA 125、 CEAの血中レベルと免疫組織学的局在態度の対比によつて、上皮性卵巣腫瘍における両マーカーの腫瘍特異性につき考察し、以下の成績を得た。 1)血中CA 125は、漿液性嚢胞腺癌進行例で100%異常高値を示したが、ムチン性嚢胞腺癌例では66 7%の陽性率を示すものの、平均血中値は低値にとどまつた。 2)漿液性嚢胞腺癌のI期例での血中CA 125陽性率は50%であり、平均血中値が低く、初期卵巣癌を早期診断する上でのCA 125のdiagnostic valueには限界のあることが示唆された。 3)CA 125とCEA血中値の二次元座標上での検討では、漿液性嚢胞腺癌の場合健?A 125高値、CEA低値X向を示すのに対し、ムチン性嚢胞腺癌では健?A 125低値、CEA高値Iな傾向を示した。 4)漿液性嚢胞腺癌の場合、CA 125の血中値と腫瘍組織内局在レベルはよく相関し、血中CA 125高値例での組織内CA 125局在は強陽性てあつたが、他方CEAの組織内局在は一般に陰性であつた。 5)ムチン性腫瘍の場合、CEAの血中値と腫瘍組織内局在レベルはよく相関し、血中CEA高値例ての組織内CEA局在は強陽性であつたか、他方CA 125の組織内局在は弱陽性であつた以上の知見より、上皮性卵巣腫瘍の中てCA 125は漿液性腺癌に対して、他方CEAはムチン性腫瘍に対してそれそれ比較的高い腫瘍特異性を有することが示唆された。このことより、上皮性卵巣腫瘍の病理組織学的性格はCA 125とCEAの血中値を対比することにより、ある程度まで推定可能であるといえる。
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1986-09-01
著者
-
丸尾 猛
神戸大学医学部産科婦人科学教室
-
大石 哲也
愛仁会高槻病院
-
望月 真人
神戸大学医学部産婦人科学教室
-
大石 哲也
神戸大学医学部産科婦人科学教室
-
岩崎 正憲
神戸大学医学部産科婦人科学教室
-
岩崎 正憲
神戸大学
関連論文
- P3-260 母児間輸血症候群の原因精査中に発見された胎盤内絨毛癌の1例(Group130 絨毛性疾患1,一般演題,第62回日本産科婦人科学会学術講演会)
- P2-108 産褥期に血漿交換が有効であった血小板減少性紫斑病(TTP) : 溶血性尿毒症症候群(HUS)の3症例(Group57 妊娠分娩産褥10,一般演題,第62回日本産科婦人科学会学術講演会)
- 妊娠12週から異常を指摘され, 妊娠33週にBody stalk anomalyと判明した1症例 : limb-body wall complexの鑑別診断
- 原因不明の子宮内胎児発育遅延・羊水過少症にヘパリン療法が著効した3例の検討
- GnRHアゴニストによる子宮内膜症治療後12カ月間にわたる骨代謝動態の解析
- 妊娠中毒症における母児赤血球膜脂肪酸組織の変化と胎児発育
- Tumor Necrosis Factor αによる顆粒膜細胞の増殖能と内分泌機能の調節 : ブタ顆粒膜細胞培養系での検討
- 唾液中プロゲステロン測定による黄体機能評価の検討
- P2-394 超音波検査にて胎児腸管拡張像を認めた新生児消化器疾患の3例(Group156 胎児・新生児12,一般演題,第59回日本産科婦人科学会学術講演会)
- 新しく開発した多目的体外臓器潅流装置について
- 討論(卵胞発育の調節機構 : 局所因子を中心として)
- 偽性血小板減少症を呈した母子例
- TA-4による子宮頚部扁平上皮癌再発の予知
- 11. 子宮癌治療の個別化における治療前診断体系の確立 : 特にMRI (magnetic resonance imaging) 導入の意義
- 2. 子宮頸部扁平上皮の癌化とEGF受容体ならびに癌遺伝子myc産物の発現 : TA-4, hCGβとの対比による免疫組織学的検討
- 上皮性卵巣腫瘍におけるCA 125とCEAの腫瘍特異性に関する研究
- 24 頚部扁平上皮癌細胞株 (CaSki) における腫瘍関連抗原産生の特性とその修飾 : 特にTA-4とhCG (α,β) との対比
- 18 頸癌進行例に対するCisplatin子宮動脈内投与時の薬物動態と臨床病理学的考察
- 62. 子宮頚癌の進展様式と腫瘍関連抗原TA-4の動的相関 : 第9群 悪性腫瘍 II
- 絨毛性疾患患者尿中hCGの分子量とそのfragmentation
- 卵胞の発育 ・ 閉鎖とアポトーシス
- hCG・サブユニット
- 甲状腺ホルモンと生殖内分泌
- Prostaglandin F_2αの陣痛誘発効果に関する基礎的ならびに臨床的研究
- ヒト胎盤ラクトーゲンに関する研究
- 婦人科悪性腫瘍手術症例における自己血輸血, 同種血輸血の生存率および術後細胞性免疫能に関する検討
- PIH 患者における第 VII 血液凝固因子ならびにフィブリノーゲンβ鎖の遺伝子多形の解析(ポスター)
- 子宮頚部扁平上皮癌(CaSki)細胞のEGF受容体発現, 細胞増殖能ならびにSCC産生能に及ぼすエストロゲンと甲状腺ホルモンの影響
- 妊娠・産褥時におけるプロラクチンの分泌態度とその意義にかんする研究
- 閉経後の骨量減少に対するエストリオールと骨粗鬆症治療薬併用療法の有用性に関する検討
- 妊娠初期に汎血球減少症を呈し、産褥期に全身性エリテマトーデス(SLE)と診断された双胎妊娠の一例
- 異なった背景因子および予後を呈した先天性乳糜胸3症例の検討
- MRI超高速turbo spin echo法による胎児奇形の出生前診断
- Insulin-Like Growth Factor-I (IGF-I)による妊娠初期絨毛トロホブラストの増殖ならびに分化機能の局所調節
- Epidermal Growth Factorによる絨毛トロホブラストの増殖ならびに分化機能のAutocrine/paracrine調節
- 顆粒膜細胞の増殖, 分化のEpidermal Growth Factor(EGF)によるAutocrine調節
- Bioelectrical Impedance Analysisを用いた妊婦浮腫の評価(一般演題:ポスター)
- 妊娠中毒症脱落膜の螺旋動脈硬化病変に対するPDGFの関与(一般演題:ポスター)
- 胎盤のインスリンレセプターとその機能
- 妊娠ラット肝におけるhCS(hPL)の作用 : in vivo 灌流系による検討
- 子宮頚部扁平上皮癌細胞(CaSki)のTA-4生成, 分泌制御機構における細胞内刺激伝達系の役割
- 431 絨毛トロホブラストでのmyc産物, EGF受容体の発現態度とEGFの生物学的作用
- 21 絨毛組織における甲状腺ホルモンの生物作用
- 卵管避妊手術後の再開通術の成績に影響を与える因子に関する検討
- 妊娠時のレニンとアルドステロン : 特にNaCl負荷テストの知見
- LHとhCGの排卵誘発能および黄体形成能の比較検討
- 子宮頚部扁平上皮癌におけるEGF受容体ならびに癌遺伝子myc産物の発現に関する免疫組織学的検討
- 絨毛性疾患管理におけるhCGβ Carboxyl-Terminal Peptideアッセイの意義
- 胎盤,卵巣,そして子宮 : 師に導かれ,患者に学びて(第59回学術講演会講演要旨)
- 当院におけるがん診療統合データベース作成の取り組みについて
- 生殖現象と甲状腺機能に関する研究 : 特に妊娠・分娩・産褥時における甲状腺ホルモンの動態分析
- 甲状腺ホルモンによる絨毛トロホブラストの内分泌機能の修飾
- 胎盤性ラクトーゲンの肝・乳腺細胞膜への特異的結 : Growth Hormone-Prolaction Superfamilyとの関連において
- 98 Digital Subtraction Angiographyによる存続性絨毛症病巣部位の数量化
- 妊娠悪阻にまつわる諸問題(産科合併症とその対策)
- 母児相関におけるcorticosteroidsの動態とその臨床的意義
- Human Placental Lactogenに関する知見 (第5報) : 特にその生化学的性格について
- Human Placental Lactogen (HPL) に関する知見 (第4報) 特に lipolysis に関する HPL の作用機序
- Human placental lactogen(HPL)に関する知見(第3報) : 特にその純化と生化学的, 免疫学的性格について
- 絨毛性腫瘍由来のHPLに関する知見
- Human Placental Lactogen (HPL) に関する知見
- 胎児に対するhuman chorionic somatropin (HCS:HPL)の直接作用について
- 絶食状態での fetoplacental maternal system における human chorionic somatropin (HCS: HPL) の作用
- 胎児の発育に及ぼすHPLの影響
- P2-10-9 羊水腔内への母体出血により低フィブリノゲン血症を来した一例(Group84 合併症妊娠(症例)2,一般演題,第63回日本産科婦人科学会学術講演会)
- P2-9-2 産科病棟職員に発生した結核感染が及ぼす影響(Group81 合併症妊娠(症例)1,一般演題,第63回日本産科婦人科学会学術講演会)
- P1-10-23 ジエノゲストが有効と考えられた腹壁子宮内膜症の一例(Group14 良性卵巣腫瘍・症例3,一般演題,第63回日本産科婦人科学会学術講演会)
- 2. 生殖 b. 卵胞発育と閉鎖のメカニズム
- HPL測定とDHA-S負荷試験による胎児胎盤機能の研究
- 卵巣機能とアポトーシス
- 母児相関における甲状腺ホルテン
- Ontogenesisの過程におけるラット肝のラクトーゲン結合因子に関する研究
- 肝細胞膜分画とヒト胎盤ラクトーゲンの結合に関する研究
- 周生期の母児相関における甲状腺ホルモン
- 骨芽肉腫細胞株(HOS)のIGF-ImRNA発現に及ぼすエストリオールの影響:とくにエストラジオールとの比較
- 双胎妊娠に合併せる急性黄色肝萎縮の治験例
- 卵胞液内Insulin-like growth factor (IGF) ならびにIGF binding proteinsによる卵の成熟および受精後の胚発育の評価
- 子宮内膜上皮細胞および間質細胞におけるインテグリンαv・β3発現に及ぼす性ステロイドの影響
- 妊娠35週に発症し,産じょく期に肝転移巣の破裂および脳転移をきたしたじゅう毛癌の1例
- 産褥期に発生した急性胆嚢炎の3症例
- P1-38-2 産褥期に心タンポナーデを呈した重症妊娠高血圧症候群の1例(Group38 PIH・HELLP症候群(症例),一般演題,第64回日本産科婦人科学会学術講演会)
- P3-11-9 子宮頸部上皮内癌の術後7年目に腟断端に発生した腺癌の1例(Group123 子宮頸部腫瘍・診断・症例2)
- P3-42-3 院内助産センターで行われた分娩における母児の安全性に関する検討(Group 154 周産期・社会1)
- 妊娠時の成長ホルモンとプロラクチンの分泌
- ヒト「子宮卵管卵巣ユニット」のIn vitro灌流実験:1.潅流条件の検討と初期妊娠ならびに絨毛性腫瘍に関する知見
- 絨毛性ゴナドトロピンのSubunitに関する研究
- A case of giant chorioangioma complicated with polyhydramnios and congenital fetal heart failure
- 絨毛組織のゴナドトロピンに関する研究
- 妊娠中期における羊水中サイトカインおよびか粒球エラスターゼ動態に関する検討
- ProgesteroneによるhCG生成, 分泌の選択的抑制と特異的hCG (α, β) mRNAの推移:in vitro絨毛培養系での検討
- 骨盤位の自己回転に及ぼすさい帯頚部けん絡の影響
- P1-45-6 妊娠中の虫垂炎に対する診療指針の構築を目指して : 16症例よりの検討(Group 45 産科合併症2,一般演題,公益社団法人日本産科婦人科学会第65回学術講演会)
- 過去12年間に当科で経験した妊娠合併卵巣癌症例の検討
- じゅう毛癌の治療と予後
- EP療法が奏効したPSTTの1例
- 当院における外陰およびちつ悪性腫ようの臨床的治療成績
- 17β-Estradiolによる培養絨毛内hCGα生成, 分泌の選択的促進と特異的mRNAの推移
- 甲状腺と卵巣の機能的相関に関する研究-特に培養ブタ顆粒膜細胞の機能分化に及ぼす甲状腺ホルモンの細胞生物学的効果について-
- 甲状腺と卵巣の機能的相関に関する研究:特に培養ブタ穎粒膜細胞におけるsteroidogenic enzyme inductionに及ぼす甲状腺ホルモンの影響について
- P2-40-5 子宮底部横切開の問題点を解消する : 羊水除去による臍下までの腹壁切開および子宮底部切開長短縮の試み(Group 78 産科手術・産科出血,一般演題,第66回学術講演会)