Tumor Necrosis Factor αによる顆粒膜細胞の増殖能と内分泌機能の調節 : ブタ顆粒膜細胞培養系での検討
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概要
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卵胞発育過程において, 各種成長因子をはじめとした卵巣内局所因子は, 卵巣外endocrine因子による主動的調節を修飾することで, 卵胞発育に重要な役割を担うと推察されるが, いまだ全容は明らかでない. 本研究では, サイトカインの一種であるtumor necrosis factor α(TNFα)に注目し, TNFαが顆粒膜細胞の増殖, 分化調節機構にいかなる影響を及ぼすかをブタ顆粒膜細胞培養系を用いて検討した. まず, 卵胞を小卵胞(1〜2mm), 中卵胞(3〜5mm), 大卵胞(6〜12mm)の3群に分類し, それぞれより採取したブタ顆粒膜細胞を, 卵胞発育のkeyfactorであるFSH (100ng/ml)とinsulin-like growth factor-I(IGF-I) (100ng/ml)の存在下, 非存在下に, 各種濃度(0.6, 6, 60, 600pM)のTNFαと共に無血清培地で72時間単層培養し, 培養顆粒膜細胞の増殖能と内分泌機能に及ぼす影響を検討した. 細胞増殖能は, proliferating cell nuclear antigen (PCNA)免疫染色陽性率と[^3H]-thymidine uptake により, 他方, 内分泌機能は培養液中progesterone (P_4)と, 17β-estradiol (E_2)レベルをRIA法で測定することにより評価した. TNFαは, 未熟な小卵胞由来の顆粒膜細胞においてのみ, FSHとIGF-I添加により増加した顆粒膜細胞増殖能を有意に減少させた. またTNFαは, FSHとIGF-I添加により増加した顆粒膜細胞培養液中のP_4とE_2レベルを, 卵胞発育段階を問わず有意に減少させたが, このTNFαによる内分泌機能抑制効果は,大卵胞由来の顆粒膜細胞において特に顕著であった. 以上の知見より, TNFαは, 卵胞発育に重要な役割をはたすFSHとIGF-Iによる顆粒膜細胞の増殖促進と内分泌機能促進に対して抑制的に働き, TNFα生物作用の中心は卵胞発育に伴い, 顆粒膜細胞の増殖能抑制から分化機能抑制へと移行することが示唆された.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1996-11-01
著者
-
丸尾 猛
神戸大学医学部産科婦人科学教室
-
望月 眞人
神戸大学医学部産科婦人科学教室
-
望月 眞人
神戸大学医学部産婦人科
-
松尾 博哉
神戸大学医学部産科婦人科学教室
-
出口 純
神戸大学医学部産科婦人科学教室
-
松尾 博哉
Graduate School of Health Sciences,Kobe University
-
松尾 博哉
神戸大学医学部産科婦人科学講座
-
望月 眞人
神戸大学
-
望月 真人
神戸大学 産婦人科
-
松尾 博哉
Graduate School Of Health Sciences Kobe University
-
松尾 博哉
神戸大学医学部保健学科
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