子宮頚部扁平上皮癌(CaSki)細胞のEGF受容体発現, 細胞増殖能ならびにSCC産生能に及ぼすエストロゲンと甲状腺ホルモンの影響
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概要
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子宮頚部扁平上皮の異型化, 癌化に EGF受容体(EGF-R)及び c-mycの発現が密に連動し, その組織内発現レベルは頚部病変の悪性化を反映することを著者らはすでに報告した. 今回, 子宮頚部扁平上皮癌細胞での EGF-R発現に関与する因子を明らかにする目的で子宮頚部扁平上皮癌(CaSki)細胞を用い, エストロゲン(17β-estradiol, E_2)と甲状腺ホルモン(L-triiodothyronine, T_3)などの成長因子がCaSki細胞のEGF-R発現と細胞増殖能ならびにSCC産生能などにいかなる影響を及ぼすかを無血清培地培養系で検討した. EGF-Rレベルは抗EGF-Rモノクローナル抗体を用いた免疫組織学的手法と^<125>I-EGF bindingのScatchard plotにより解析し, 細胞増殖能は, 細胞数, ^3H-thymidineuptake, PCNA (proliferating cell nuclear antigen)免疫染色によって検討した. SCC産生能は細胞内SCCレベルをSCC-RIAキットで測定して判断した. ^<125>I-EGF結合能の検討では, E_2あるいはT_3の添加はCaSki細胞 EGF-Rの affinityには影響せず, そのcapacityを増加させた. EGF-R免疫染色の検討では, E_2あるいはT_3添加によって, CaSki細胞のEGF-R免疫染色強度が増強した. 細胞増殖能の検討では, E_2あるいはT_3添加は CaSki細胞の^3H-thymidine uptakeとPCNA免疫染色陽性率を増大させ, 細胞数を増加させた. またE_2あるいはT_3添加によりCaSki細胞内SCCレベルも増加した. 以上より, E_2ならびにT_3は子宮頚部扁平上皮癌(CaSki)細胞でのEGF-Rの up regulation因子として働き, その増殖能を高めると同時に, SCC産生をも促進することが明らかとなった.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1995-02-01
著者
-
丸尾 猛
神戸大学医学部産科婦人科学教室
-
望月 眞人
神戸大学医学部産科婦人科学教室
-
吉田 茂樹
神戸大
-
望月 眞人
神戸大学医学部産婦人科
-
松尾 博哉
神戸大学医学部産科婦人科学教室
-
松尾 博哉
Graduate School of Health Sciences,Kobe University
-
松尾 博哉
神戸大学医学部産科婦人科学講座
-
吉田 茂樹
神戸大学医学部産婦人科学教室
-
松尾 博哉
Graduate School Of Health Sciences Kobe University
-
松尾 博哉
神戸大学医学部保健学科
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