前方視的な手法による妊娠末期の子宮頸管熟化と分娩経過に関する研究第1報 : 妊娠・分娩・産褥における母児の臨床統計

概要

論文の詳細を見る
妊娠末期における子宮頸管の熟化と分娩経過あるいは新生児所見との関係を明らかにするために共同調査を行った.ここでは, 得られた成績の中から, 第1報として妊娠・分娩・産褥における日本人母児の臨床統計を報告する。1994年6月1日より30日までの間に, 全国の75施設を訪れた妊婦34週0日から35週6日までの単胎妊娠のすべてを登録し, 対象とした(全例につき妊娠15週までの間に超音波診断法により妊娠週数を確認した).登録症例数は2, 643例で, 調査報告書の回収数は2, 595例であった(回収率98.2%).完全除外症例は24例で除外症例は970例で, 検討対象となる症例数は1, 601例(回収症例の61.7%)であり, 初産婦が860例, 経産婦が741例であった.経産婦の平均年齢は初産婦に比べ有意に高齢であった.初産婦と経産婦の身長には差を認めなかった.非妊時の体重およびbody mass index(BMI)は経産婦で有意に高値であったが, 妊娠中の体重増加は初産婦と経産婦で有意差を認めなかった.平均妊娠持続日数は初産婦で有意に長く, 過期産の頻度は初産婦で経産婦の約2倍であった.自然分娩が経産婦で有意に多く, 胎盤重量は経産婦で有意に重かった.分娩I期所要時間とII期所要時間は経産婦で有意に短かったが, III期所要時間は初産婦と経産婦で差を認めなかった.経膣分娩例の分娩時出血量は初産婦で有意に高値であった.初産婦と経産婦で男児と女児の比率はほぼ同じであった.出生児の身長と体重は経産婦で有意に大きく, また初産婦と経産婦のいずれにおいても女児に比べ男児で有意に重かった.日本において, 妊娠中に妊娠症例を登録しておき, 正常な妊娠経過をたどった妊婦について妊娠・分娩・産褥の経過と新生児所見につき詳細に分析した報告はまだなく, 今回の成績は我が国における標準的な母児統計成績と考えられる.
社団法人日本産科婦人科学会の論文
2000-03-01

前方視的な手法による妊娠末期の子宮頸管熟化と分娩経過に関する研究第1報 : 妊娠・分娩・産褥における母児の臨床統計

スポンサーリンク

概要

著者

関連論文

スポンサーリンク

前方視的な手法による妊娠末期の子宮頸管熟化と分娩経過に関する研究 第1報 : 妊娠・分娩・産褥における母児の臨床統計

スポンサーリンク

概要

著者

関連論文

スポンサーリンク

前方視的な手法による妊娠末期の子宮頸管熟化と分娩経過に関する研究第1報 : 妊娠・分娩・産褥における母児の臨床統計